東証の「市場区分」見直し、どう進めるべきか 蚊帳の外に置かれた投資家たちの不平と不満

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経産省は3月6日に開示した「市場構造の在り方等の検討について」というペーパーの中で、ステップアップしていく構造を前提とした設計にしないでほしいと主張している。各市場は規模やリスク、流動性等、特徴に応じたコンセプトで設計すべきで、各市場は横に並列する考え方だ。

現在の東証はマザーズなど新興市場からスタートし、企業の成長とともに1部昇格を目指していくステップアップ型の市場であり、昨年12月21日にパブコメの募集を開始した時点でもその考え方を変えていなかった。ところが、3月27日に東証が公表した論点整理のポンチ絵では突如「並列型」になった。こうすると「降格」ではないと言い逃れることができる。東証が経産省の要望を反映させたことは明らかだ。

トーンを微妙に変化させた金融庁

金融庁のトーンも微妙に変化している。筆者が1月下旬に金融庁にヒアリングした際は、「報道にあるような短期間で東証が再編案を決めてしまうとは考えていない」としながらも、「市場区分の変更は東証が考えること。それによって株価が上がるのなら、金融庁が考える方向性とも一致するのでウエルカム」という見解だった。しかし、4月に入ると「社会的にも影響は大きいので政策判断が必要になる。ワーキング(グループ)になるのか、審議会の形になるのか形式は未定だが、金融庁で議論の場を設ける」と変化した。

3月20日発売の月刊誌FACTAが、東証の懇談会委員である大崎氏による情報漏れ問題を報じたタイミングも絶妙だった。

大崎氏が野村證券のストラテジストに、東証が1部からの降格基準を250億円にしたい意向であることを漏らし、このストラテジストからこの情報を得た野村證券の日本株担当の営業マンが、取引先の機関投資家にこの情報を一斉メールしたというのが記事の概要だ。

だが、大崎氏の行為はインサイダー取引規制に抵触するわけではない。「インサイダー取引規制は、個々の上場会社から、その会社の重要事実の伝達を受けて取引をした者及びその重要情報の伝達者を処罰するもの。大崎氏が伝達したのは上場会社の重要事実ではない」(金融商品取引法に詳しい山中眞人弁護士)からだ。

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