プレゼンがダメな人は伝えたいことが不明確だ スライドを主役にしていては記憶に残らない

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テクニックうんぬんは二の次です。いくらイケているスライドや流暢なトークを駆使しても、伝えたいメッセージを用意し、おみやげとして持って帰ってもらえないのであれば、そのプレゼンや講演は「時間とお金と労力のムダ」なのです。

まずは、どういうプレゼンが正しいのかを知ること。そして、プレゼンの本質にしたがって、良いプレゼンをすべきだという認識を持ってください。それが良いプレゼンのためのスタート地点。練習やスライドの準備はその後に行うものです。

見方を変えれば、多くの人ができていないのだから、これを読んでプレゼンの本質をつかんだあなたは、今日からすぐに差別化が図れるというわけです。

スライドの文字を順番に読んでいくのではない

ここまでの話を踏まえて、冒頭にお伝えした悪いプレゼン例を思い出してみてください。日本人のほとんどが、スライド上にある文字を順番に読んでいくだけでした。これでは、聞いている人にきちんと伝わっているのかがわかりませんし、そもそも、データや書かれた文字を読み上げるだけでは、聞いている人の記憶にすら残りません。

そして、プレゼンが評価されない多くの人に共通するのが、「プレゼンはスライドが主役」と勘違いしていることです。主役は、あくまでプレゼンをしている本人。社内の企画会議であれ、顧客に対するセールスであれ、一番強く印象づけるべきは、提案する企画や商品ではなく、「プレゼンする自分自身」なのです。

「プレゼンの主役は自分である」ということに気づかされたのは、アメリカで受けたプレゼンの授業がきっかけでしたが、同じような話を、先日お会いしたチェロ奏者の方からも聞くことができました。たまたま彼のパフォーマンスを耳にしたのですが、とてもすばらしい演奏でした。彼はチェロの演奏がうまいだけでなく、表情を巧みに変えたりして、とても表現力が豊かだったのです。そんなことを彼に伝えていたら、私にこう言ったのです。

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