プレゼンがダメな人は伝えたいことが不明確だ スライドを主役にしていては記憶に残らない

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「僕はチェロを演奏してるんじゃない。チェロで僕自身を表現しているだけ。チェロは道具にすぎないからね」

素直にかっこいいなと思いました。チェロは道具で、主役は自分。だから彼は、チェロの演奏者でもないと言いますし、お客さんは、自分のチェロの演奏ではなく、僕の表現を聴いてくれている。彼はそう言ったのです。

伝えたいことが決まっていれば時間配分も楽

私は早口になりやすいので、話すスピードには気をつけています。マイクがあるので声の大きさに気をつけることはありませんが、ふだんの生活では、声が小さいと「声が小さいのは自信がないのかな」と、聞いている側の印象も悪くなってしまいます。

『結局、人生はアウトプットで決まる 自分の価値を最大化する武器としての勉強術』(実務教育出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

うなずいてくれる人を見つけたらしめたもの。その人を見ながら話すようにしています。その人自身も喜んでくれるし、わかりやすくリアクションしてくれるようになるので、こちらの気分も乗ってくるのです。

会社内のプレゼンだと、キーパーソンがいるでしょう。彼らに積極的に伝えることも重要ですが、自分の気分を乗せていくためにも、リアクションの良い人を見たほうがいいでしょう。自分の気分が乗れば、結果として良いプレゼンになるからです。

伝えたいことがきちんと決まってさえすれば、時間配分は楽にできます。観客が理解しているならば、思い切って話題を飛ばしてもいい。知っていることを何度も言われるのはストレスですし、テキストと違って読み飛ばすこともできません。だからこそ、せっかくスライドを用意していても、理解してもらえたとわかれば堂々と飛ばせばいいのです。

アドリブが思いのほか盛り上がり、気づいたらあと5分だったというときも珍しくありません。しかし、そんなときでも、慌てる必要は一切ありません。伝えたいメッセージははっきりしているのですから、スライドを飛ばすなり、メッセージを繰り返すなりすればいいのです。

中島 聡 Singularity Society代表

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なかじま さとし / Satoshi Nakajima

1960年生まれ。米国シアトル在住。早稲田大学大学院理工学研究科修了。米ワシントン大学でMBAを取得。早稲田大学大学院修了後、NTTの電気通信研究所に入社し、わずか1年で設立間もないマイクロソフト日本法人へ転職。3年後、米国本社へ移り、Windows 95、Windows98、Internet Explorer 3.0/4.0のチーフアーキテクトなどを務めた。現在は、シンギュラリティ・ソサエティ(2018年8月設立)代表理事としてAI時代をリードできる人材育成に取り組む。著書『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』(文響社)。

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