「6カ国語操る川島永嗣」の英語塾が急拡大の訳 サッカーやチアを通じて学ぶスクールが人気

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そんなグローバル人材をこれからも多く輩出したいというのが、同プロジェクトのアンバサダーである川島の切なる願いである。発起人の彼自身は今のところ年に1度、英語サッカースクールのイベントに参加するにとどまるが、日本人のグローバル化に貢献したいという思いは誰よりも強い。

川島にはグローバル人材を育成したいという強い意志がある(筆者撮影)

「僕は今、現役のプロサッカー選手なんで、ピッチ上でのパフォーマンスを最優先に考えていて、プロジェクトの経営・運営面にはほぼタッチしていません。ですが、いずれはアスリート全体、あるいはビジネスマン向けの語学サポートなどの運営を手がけてみたいという思いはあります。

田中さんというベストパートナーとともに二人三脚で事業を軌道に乗せ、可能な限り拡大し、いちばんいい組織・体制を作れるように今後も努力したいと思います」と川島は意欲を示している。

2020年には東京オリンピック・パラリンピックも開催されるなど、外国人との関わりは増える一方だ。ボーダーレス化がより一層加速する中、これからの日本人はグローバルな人材にならなければ、厳しい時代を生き抜いていけない。そんな近い将来を視野に入れても、川島が関わるこのプロジェクトは子どもたちにとって有効だ。

外国語を話せて損したことは一度もない

「僕にとっての語学力は『世界を渡っていくために不可欠なツール』です。初めて欧州の扉をたたいたベルギーで、片言のスペイン語やフランス語を駆使してチームメートと会話したときに『18歳から興味を持って勉強したことがこんなにも役立つんだ』と驚きました。これまで外国語を話せて損したことは一度もない。サポーターからの文句の内容がわかるくらいですかね(苦笑)。

でもネガティブな意見や批判を理解できなかったら、人間としていいことじゃないと僕は思う。『言葉がわからない』という理由で見たくないものに背を向けるような生き方はしたくない。いいことも悪いことも、しっかりコミュニケーションを取れるようになること。それがこの先の日本人には必要だと感じます」

実際に海外でたくましく戦ってきた川島の言葉は重い。彼の思いが投影されたプロジェクトの今後の発展、そして川島自身の生きざまが興味深いところだ。

(文中一部敬称略)

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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