娘も専業主婦に、と願う「問題母」の手なづけ方 結婚は「正社員と」「家を買え」は時代錯誤

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娘の結婚は親にとっても一大事。でも、自分世代の価値観を押し付けると、娘にとっては単なるおせっかいでしかありません(写真: Fast&Slow/PIXTA)

どれだけのお金で、どのように暮らしていくか。その価値観は、人によってさまざまです。価値観はその人が生きてきた時代背景に影響され、形成されることも多いので、異なる世代に自分の価値観を押し付けるのは考えものです。

とくに親世代が若い子どもの世代に価値観を押し付けてしまうと、たとえそれが親心であったとしても、子どもたちの将来にプラスに働くとは限りません。

今回は、ファイナンシャルプランナーの筆者のもとへライフプランのご相談に来た2組のケースをご紹介します。どちらも、親夫婦が子どもの結婚や新居について、自分たちの価値観にこだわって心配したり、アドバイスしたりしていました。

「おひとり様」の老後が心配な専業主婦の妻

最初は60代のご夫婦です。子どもの相談ではなく、そもそも老後のライフプランの相談に来ました。

ご主人は63歳。今も大手メーカーにお勤めです。4歳年下の奥様は、人生の大半を専業主婦として過ごしてきました。厚生年金加入期間が短いため、年金が少ないことをとても心配されています。最近お友達で夫を亡くした方がいたそうで、「もし主人に先立たれたら……」と言います。「おひとり様の老後」が不安なのです。

さっそく、ねんきん定期便などを用い、今後のキャッシュフローを確認していきました。65歳以降もご主人は仕事を続ける意向ですが、パート職員となるので在職老齢年金(一定以上の収入のある高齢者の厚生年金支給額を減らす制度)の対象になりません。そのため老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)は65歳から満額を受け取ることにしました。

受け取る年齢をもっと遅く、「繰り下げ」すれば年金額が増えますが、それをあえてしないのは、年下の奥様を対象として支給される「加給年金」の約40万円を受け取れなくなるから、という理由もあります。加給年金とは、老齢厚生年金がもらえるようになった時点で妻子がいると年金額が増える仕組みで、配偶者は65歳未満が条件です。

奥様が65歳になるまでの間、その加給年金をもらうことにすると、ご主人の老齢年金は合計で約250万円と試算できました。

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