教育に革新を引き起こす「3つのテクノロジー」 アップルが考える教育のリワイヤリングとは
ここでいうアダプティブラーニングは、AIによって学習する内容の難易度を変えることができるソフトウェアを指す。利用者(学習者)の回答や行動にもとづいて、自動的にその場で難易度が変わる。
このソフトを使えば、習得できていない内容を残したまま、より難易度の高い内容に進むことが避けられる。数学や科学のような分野で活用すると、とりわけ効果的だ。
導入すれば、なぜ間違えたのか、具体的にどこでつまずいたかなど、数十人以上の問題点を見つけることをはじめ、教師に課せられたさまざまな「音をあげたくなる作業」が数秒で完了する。つまり、アダプティブラーニングを使用すると、生徒は独自のペースで学習せざるをえなくなるのだ。
これはいいことだ。所定の時間枠で理解しないといけないというプレッシャーがかからなくなる。プレッシャーは学習における最大の問題の1つでもある。生徒にはほぼ何でも学べる力があるが、全員が同じやり方で習得できるとは限らない。同じ時間枠でなど、絶対に無理だ。
アダプティブラーニングを導入すると、カンニングの問題がほぼなくなることもわかっている。同じ教室にいても、生徒によって学ぶ箇所がバラバラなのだから、カンニングのしようがない。
また、ポイント、レベル、称号といったゲームの要素が盛り込まれているので、それらを通じて生徒の自信が高まる効果もある。
全生徒の学習を本当の意味でパーソナライズ化することはどうしてもできなかったが、アダプティブラーニングのおかげでようやく実現できそうだ。
IoTで知られる「モノのインターネット」は、回路、電子機器、センサー、ソフトウェアなどをさまざまな日用品に直接組み込むテクノロジーを指す。ここでいう日用品には、衣服、電化製品、車、家具、台所用品など、ありとあらゆるものが含まれる。
IoTを学習や指導に融合するとどうなるのか?
例えば、RFID(無線自動識別技術)を生徒のIDやウェアラブル端末(身に着ける機器)に組み込めば、出席しているかどうかが簡単にわかるので、教師は出席を取る手間が省け、親は子どもがちゃんと学校に行っているかを確認できる。
歴史の教科書を読んでいる生徒は、ペン型のスキャナー(すでに存在する)を使ってスキャンした箇所を無線通信でスマートフォンのアプリに転送すれば、その箇所の編集や検索が可能になる。また、クラウドに保存すれば、いつどこからでも見られるようになる。
脳波センサーが内蔵されたIoT対応のヘアバンドを頭に着ければ、授業を受けているあいだの認識能力を測定できるので(この測定器もすでに存在する)、生徒の集中力が高まる部分や集中力がなくなる部分がリアルタイムで教師に伝わる。また、各生徒が好む学習スタイルの特定も容易になる。
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