アップル流「子どものやる気を最大化する」方法 情熱と才能が交わるスイートスポットを探せ
かつて、怒れる親といえば子どものスポーツの試合の脇で見受けられるものだったが、教育の場にも広がりつつある。近頃では、ありとあらゆる場面で親が子どもに成功せよという重圧をかけるようになった。
重圧はストレスを生み、ストレスはさまざまな悪影響をもたらす。私も親なので、子どものために最高を求める気持ちはよくわかるし、もっと上を目指せと子どもに「ハッパをかける」ことがいけないとも思わない。
ただし、子どもを「応援する」ことを選んだ親は、応援すると決めたことについて、少なくとも子どもの言い分に耳を傾けるべきだ。子どもに目標を達成させたいなら、子どもが心も頭も納得してその目標に向かっているかどうかを確かめることを忘れてはいけない。
現実的になるべきか、ならざるべきか
2つめは「現実主義」に関することだ。私はいまも昔も、不可能なことは何もないと強く信じている。私の口から「不可能」という言葉が出ることは、この先もまずないだろう。
私はこれまでの人生で、不可能だと思っていたことが現実になる場面に何度となく遭遇した。スティーブ・ジョブズから新たにやりたいことを聞かされるたび、周囲の人間はほぼ毎回不可能だと感じた。アップルで不可能を可能にすることを学び、私は「現実的になる」という考え方自体が嫌いになった。大きな夢を抱く子どもと話をするときは、とくにそうだ。子どもが抱く夢の大半は現実にならないが、絶対に実現しないとは限らない。
落第の危機にある子どもに対し、善良な大人の多くは厳しい「現実」を突きつける。成功する確率がいかに低いかを強調し、無謀な夢は捨ててより現実的なプランBに切り替えてはどうかと諭す。
だが、大人からそう言われたとき、子どもの耳にはこんなふうに聞こえる。
「それを実現するのは大変だ。おまえには難しすぎる。おまえにできるとはとても思えない。おまえは選ばれた1パーセントの人間じゃない」
子どもにこんな声を聞かせてはいけない。大人にとって現実的に思える考えは、子どもを傷つける。そんな考えをばらまけば、子どもの夢を殺すことになる。そんなことはせず、子どもがやりたいと望むことに、あなたが必要だと思うことを結びつける努力をしてほしい。
つねに「現実的」であろうとすると、人と違う考えを生みだす力や独自性を維持する力が損なわれる。現状に対する期待に制限が生まれ、「現実的になれ」という人の期待の範囲に自分を閉じ込めてしまう。
3つめは、「失敗」と「計画的訓練」についてだ。この2つはとりわけ興味深い。ほとんどの人は、自分が失敗しそうなことを積極的にやりたがらない。人は、自分がうまくできることばかりやりたがり、そうでないことからは距離を置こうとする。
つまり、親や教師やコーチが子どもに失敗を恐れるなと励まし、失敗するのは当然なのだと伝えなければ、子どもは失敗を悪いことだととらえるようになるということだ。
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