従業員の幸福度が高いことは、いったいどれほど企業にインパクトがあるのでしょうか。
アメリカ・イリノイ大学名誉教授のエド・ディーナー博士らによると、幸福感の高い人は、そうでない人と比べて、創造性が3倍高く、生産性は31%、売り上げは37%も高いといった研究結果が報告されています。また、幸福度が高い人は、欠勤率や離職率が低いことも明らかとなっています。
この研究結果だけ見ると、働き方改革を行うより、社員の幸福度を高めたほうがよほど効率的だ、と思われるかもしれません。しかし、個人の幸福度を高めるというのは、口で言うほど易しいものではありません。それは、目に見えるものだけに限られるわけではないからです。
幸せには2種類ある
幸福学の研究では、幸せには2種類あることが知られています。1つは「地位財」と言われ、お金やモノ、社会的地位など、他人と比べられるものをいいます。俗にいう、金銭欲、物欲、名誉欲などです。
しかし、こうした幸せは長く続かないと言われています。確かに、給与がアップしたり、高額のボーナスが出たりすればうれしいものですが、しばらくすると「もっとほしい」という感情が芽生えてくるものです。他人と比べて自分はどうかと、むしろ、際限なく人を惑わすものかもしれません。
一方、精神的、身体的、社会的に良好な状態からもたらされる「非地位財」があります。いわゆる心の豊かさや、健康、安全といったものです。特に心の豊かさについては、人それぞれが主観的に感じるものであり、目には見えません。こうした幸せは、長続きするといわれています。
慶応義塾大学大学院の前野隆司教授は、精神的に良好な状態について調査した結果、幸せには心理的な要因として4つの因子があることを明らかにしています。
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