仕事の生産性にまで影響する「幸福」の正体 幸せな社員が増えるほど会社が伸びる理由

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それは、「自己実現と成長(やってみよう因子)」「つながりと感謝(ありがとう因子)」「前向きと楽観(なんとかなる因子)」「独立と自分らしさ(ありのままに因子)」です。

この4つの因子は相関関係があり、すべての因子を満たすように暮らしていけば、幸福度が高まると考えられます。

マネジメント層の仕事の与え方も重要

これらを踏まえて働くことで、少しずつ幸せ体質になれるかもしれません。例えば、どのような仕事であっても、やらされ感たっぷりで嫌々取り組むのではなく、興味とやりがいをもって前向きに取り組むことです。「ありがとう」と言えるチームへの感謝や信頼、職場での良好な人間関係も欠かせない要素といえます。

そのためには、マネジメント層の仕事の与え方も重要といえるでしょう。短期的な成果ばかり求めると、一時的には詰め込みで業績は上がるかもしれませんが、強い負荷が生じれば疲弊してしまいます。

ハラスメントとは対極に、心理的安全な環境でのエンパワーメントが求められてくるでしょう。そして、何のためにこの仕事をするのか、この会社があるのか、存在意義や目的を言語化できることも大切だと考えます。

幸福度の高い人は、創造性も高いとされていますが、前野教授らの研究によると、創造性のためには多様性が重要とのこと。つまり、幸福度と創造性、多様性の3者は、高い相関関係が見られるそうです。

多様な人材が活躍するためにも、柔軟な働き方ができる環境を整え、自律的に業務ができるように裁量を持たせることで、より一層創造性が発揮できるのではないでしょうか。

イノベーティブな価値を生み出すには、多様性のある組織で、信頼できるメンバーと率直に意見を交わし合える環境が大切ということでしょう。

個人の幸せが、会社の発展に通じる。そう考えると、まず自分自身の幸せを求めることは、決してわがままなことではありません。友人や家族、組織、社会が幸せになるためにも、自らの幸せを大切にしたいものです。

佐佐木 由美子 人事労務コンサルタント/社会保険労務士

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ささき ゆみこ / Yumiko Sasaki

グレース・パートナーズ株式会社 代表取締役。アメリカ企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所等に勤務。著書に『採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本』をはじめ、新聞・雑誌等多方面で活躍。グレース・パートナーズ株式会社の公式サイトはこちら

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