西友はウォルマート化で復活できるか? 改革進まずさらなるリストラも《特集・流通大乱》

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西友はウォルマート化で復活できるか? 改革進まずさらなるリストラも《特集・流通大乱》

「KY(カカクヤスク)でいこう!」。昨年、世界最大の小売会社ウォルマートの100%子会社になった西友。その西友が昨年11月から全394店で始めた新しい低価格政策だ。

このKY作戦で、同社は1700品目に及ぶ値下げを実施。他社チラシでより安い商品があれば、PBなど一部商品を除いて値引きするという「他社チラシ価格照合制度」まで繰り出し安さをアピール。流行語にもなった「KY(空気読めない)」に引っ掛けたこともあり、マスコミも消費者も直ちに反応した。

「最近、西友さんは元気がいい」と大手総合スーパー役員。この販促で西友の来店客数は前年比3%ほど伸びた。同社調査によると、西友の価格に「非常に満足」と答えた人は12月には25・8%にのぼり、前年同月比で9・5ポイント上昇している。

こうした積極策に打って出ることが可能になった背景には、ウォルマート流EDLP(エブリデー・ロー・プライス)戦略の“本稼働”がある。

ウォルマート資本が西友に入ってすでに7年弱。当初からEDLPを謳ったものの売上高減少は止まらず、2007年12月期(連結)も9523億円へと漸減した。ウォルマートが資本参入した03年02月期と比較しても15%以上も減少し、6期連続の最終赤字だ。この過程で食品が全売上高の7割に達し、1997年に4割を占めていた衣・住関連商品は25%程度にまで比重を落とした。

なぜ、ウォルマート出資からこれだけの時間を費やしながら、目に見える成果が出てこなかったのか。

野田亨最高執行責任者(COO)によれば、「ウォルマート出資比率が5%程度だった02年当初は、取り組みが不十分だった」。低価格品をとにかく取り寄せ、店頭に並べていた。日本の家庭用トイレには使えないサイズのトイレットペーパーが大量に並べられ、「ほとんど在庫処分することになった」(元西友社員)というお粗末ぶり。こうしたチグハグ政策で客離れは進んでいった。

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