西友はウォルマート化で復活できるか? 改革進まずさらなるリストラも《特集・流通大乱》

課題は大型店改革 再度店舗リストラも

05年、第三者割当増資で出資比率が約53%に引き上げられ、子会社化すると同時に戦略を再構築。06年に生活用品で新たなEDLPをスタートする。むやみに量を追わず、検証しながら徐々に品目数を拡大するという基本の基本からのやり直し。それがやっと実り、ここへ来て食品を中心に客足が戻ってきたのだ。

EDLP実現には、業務効率化によるコスト削減が不可欠。同社は一つひとつ作業を見直していった。たとえば売り場の通路に面した商品棚の簡素化。従来、熟練した従業員が特売品を多種類陳列していたのを、単品陳列へと変更した。商品配置は本部でマニュアル化、アルバイトでも陳列可能にした。

一連の合理化で店舗に必要な人員も削減。08年10月には全従業員数の約6%に当たる350人規模の早期退職を募集した。これも業務効率化によって可能になった削減だという。08年6月中間期では、売上高販管比率は27・5%と前年同期比1・7ポイント改善。これがKY作戦の実現につながっている。

だが、衣料や住関連商品の本格改革は今年こそが本番だ。同社には、衣・住関連の売り場が一定面積を占める中・大型店が約100店ほどあり、総合スーパー同様、中途半端な品ぞろえに終始する店も多い。さらに「LIVIN」など百貨店に近い運営をしている大型店も9店ある。

野田COOは「肌着などの必需品は食品同様にEDLPで対応する。ただファッションや嗜好品はEDLPにはそぐわない。改革のハードルは高いがチャレンジする」と宣言する。が、事はそう簡単ではない。

海外の流通事情に詳しいノア・ジャパンの穗刈俊次社長は、「非食品部門から撤退することもありうる」と大胆予測する。衣・住関連商品の立て直しは強力なライバル他社でさえ苦戦しており、難しさは折り紙付き。ましてや、LIVINなどの“擬似百貨店”はウォルマート流では改革が難しく、再度の店舗リストラの可能性は消えない。完全傘下入りで当面資金面での不安は薄れたが、それが無条件に西友の復活を保証するわけではないのだ。

韓国やドイツで撤退するなど、ウォルマート流は米国以外でも無敵というわけではない。現時点では日本でのシェア拡大姿勢を堅持しており、それが西友の成果いかんにかかる。胸突き八丁の1年が幕を開けた。

(週刊東洋経済)

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