台湾に行ったら「ベジタリアン」料理が凄すぎた ヴィーガンではない人も満足する台湾素食

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このように人気の台湾素食だが、ベジタリアン、ヴィーガンが人口の10%程度とはとても思えないほどだった。

素食レストランで食事をする家族に聞いてみたが、娘がヴィーガンなので一緒に食事を楽しむために食べに来たと話してくれた。家族に1人でもヴィーガンがいると、その家族も食べに来る。だから、より人気があるのかとも納得した。そして、菜食主義者でない人たちも満足できるのが台湾素食のすごさだろう。

日本でも「持続可能(サステナブル)な消費」「エシカル(倫理的)消費」が注目されてきている。台湾素食はこうした考えにもかなう。こういった台湾の素食文化が日本でもブームになる日も来るのかもしれない。

肉食は世界的に見ても持続可能ではない

現在、世界各国では持続可能な社会に向けた取り組みも進んでいる。地球温暖化対策が喫緊の課題である中、人口増大が進む発展途上国が豊かになり、先進国並みに肉の消費を行うと水不足、環境汚染などが甚大となり、地球環境が深刻な状況に陥ることが指摘されている。

例えば、鶏肉1キロを作るために、穀物が3キロ必要だ。豚肉1キロ作るために7キロ、牛肉に至っては1キロを作るために11キロ必要と言われている。

肉食は持続可能性のない食材という認識が高まっているのだ。また、発展途上国の中には肉どころか穀物さえ満足に摂取できない子どもが大勢いるなかで、先進国では穀物を家畜に与えて肉や卵、牛乳を得ていることが貧困問題を深化させているとの指摘がある。

仏教の教えに基づく殺生の禁止に加えて、台湾では現代の地球環境保護や動物愛護の思想を踏まえて、素食が流行していることは台北の街を歩き、人々の声からも伝わってきた。

日本人にはこの認識はあるのだろうか?

来年には東京オリンピック・パラリンピックを迎える。すでに訪日外国人観光客も数多く訪れており、2020年4000万人の目標を政府は掲げている。

数多くの観光客や一流アスリートが集う1年後にベジタリアン・ヴィーガン食の人たちの要求を満たす食事を提供できるのかは未知数だ。台湾素食のような光景が近い将来の日本でも見られることを願う。

細川 幸一 日本女子大学教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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