親の死亡保険を得た子が受けた「酷い仕打ち」 「管理できない」受取人への保険金を守るには

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もし自分が死んで、幼いわが子が一人ぼっちになったら? 自分が死んだあとの保険金を先々まで、どうやって計画的に使わせればいいのだろうか?(写真:nashie/PIXTA)

ファイナンシャルプランナーの寺門美和子です。夫婦問題カウンセラーとの二刀流で仕事をしていますが、「シングルの母子家庭」というお客様からご相談をもらうこともあります。抱えている問題は切実。心が痛むことも少なくありません。

例えば、シングルマザーで働きながら子育てしている方からの「私に万が一のことがあった場合、まだ小さな子どもは生きていけるでしょうか」といった相談です。障害者の子どもがいる、というお母様からも、同様のご相談をいただいたことがあります。

いずれも、「死ぬに死ねない」という親の悲痛な叫び声が背景に横たわる問題です。万が一を考えて生命保険に加入していても、こうした親御さんは、やっぱり死ぬに死ねません。保険金を受け取る子どもが小さかったり、障害を抱えていたりすれば、お金を自分でしっかり管理することができないからです。

しかし、私は「生命保険信託」を利用すればシングルマザーなどのお客様も一筋の光が見えてくるのではと思います。今回は、比較的新しい保険サービスである生命保険信託についてお話ししていきます。

30代シングルマザーの事故死が招いた「悲惨な事件」

「生命保険信託を利用していれば、こんな悲惨なことにならなかったのに……」
 今でも、そう思い出す事件があります。

2004年、埼玉で起きた事件でした。発端は、30代のシングルマザーが交通事故で死亡したこと。幼い男児が1人、残されました。その後、未成年後見人に選任されたのは、母親の実兄である、その男児の伯父でした。

当初、伯父は男児の面倒をしっかり見ていたようです。ところが、熊本市にある慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)の存在を知ります。伯父は後見人になって3年後、2007年に男児をポストに預けてしまいました。そして、行方不明に……。

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