親の死亡保険を得た子が受けた「酷い仕打ち」

「管理できない」受取人への保険金を守るには

それに、生命保険信託には「今まとまった財産がなくても、自分が死んだ後には相続財産をしっかり形成できる」というメリットもあります。

シングルマザーなど1人親世帯の方々の中には、「子どもが成人して社会に出るまで」あるいは「大学を卒業するまで」のお金が大変だと思っている人が少なくありません。子どもが小さいうちに自分が死んでしまったら、大学卒業までのお金なんて誰も工面してくれない……と不安になることもあるでしょう。

しかし、生命保険信託にしておけば、1年後に自分の身に何かが起こっても、それ相当の財産を子どもに残すことができますし、財産の管理をしてくれる人も見つけておけます。

例えば、掛け捨てタイプの収入保障保険等に若いうちに加入すれば、保険料は抑えられます。収入保障保険とは、死亡・高度障害といった万が一の場合に、毎月決められた金額の給付金もしくは一時金を遺族が受け取れる生命保険です。

仮に、40歳のシングルマザーが毎月15万円を子どもに遺したいとしましょう。60歳まで保険料が毎月3300円、支払総額は79万2000円という生命保険もあります。これくらいの金額だったら、「保険を掛けてもいい」という人も多いのではないでしょうか。

障害のある子どもを持つ「68歳母親」がつぶやいた一言

さて、今のお話をした後なのでもう1つ。再婚したケースはどうでしょうか。つまり「生命保険信託で、自分の死後、受益者である配偶者(再婚相手の妻)に保険金(財産)が生前決められたとおりに渡されるのは本望だけど、その配偶者が死んでしまったら保険金はどこに流れていくのか?」という心配もあるでしょう。

もし、自分の再婚相手まで亡くなった場合、財産はどこに流れるかというと、配偶者の兄弟姉妹へ流れることになるかもしれません。しかし、生命保険信託では複数の受益者を設定することができます。

保険金を受け取る配偶者も亡くなったとき、その後の受取人を決めておくことができるのです。最近では、離婚した前妻との間に実子がいる場合など、生命保険信託に加入する委託者は、付き合いの浅い再婚相手の兄弟姉妹へ財産が流れるより、実子へ戻してほしいという契約をする方が増えているそうです。

また、障害のある子どもに対しての「親亡き後」の財産管理問題はとても深刻ですが、生命保険信託によって救われるケースも少なくありません。最後に、そのようなご相談例を紹介しましょう。

70歳の夫と68歳の妻、3人の娘さんの5人家族です。そのうち41歳の長女に障害がありました。2人の妹たちは結婚しましたが、長女の状態からして、契約は終身保険にせざるをえません。そこで、奥様が保険に加入し、信託を組みました。受益者は長女。68歳で加入する終身保険は正直支払う保険料が高く、保険会社の担当者は心苦しい気持ちだったと言います。

しかし、契約を終了したその席で奥様は一言、こうつぶやいたのです。
「これで、いつでも死ねます」

障害のある子どもを残して「死ぬに死ねない」という思い、それはどれだけ重いものでしょう。一般に、保険は「受け取るとき」に「よかった」という思いになるものです。それが、保険に「加入する時点」でこんな思いになるなんて……。長女に対する心配を、この奥様は41年の間、背負ってこられたのでしょう。

でも、もっと若いうちに生命保険信託を契約していれば、コスト減になっていたでしょう。「信託」とは、思いを信じて託すものなのです。

現在、「生命保険信託」を取り扱っているのは、41社ある国内の生命保険会社のうち、プルデンシャル生命保険・ソニー生命・第一生命・FWD富士生命の4社。受託者となる自社系金融機関を持つのはプルデンシャル生命のみです。その他は大手の信託銀行を窓口にしています。
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