遺言書で「もめる人」「もめない人」の致命的な差 ある書家が残した妻への「最後のラブレター」
私は遺留分を侵害するような内容や、相続人の一部にとっては公平性を欠く内容の遺言になる場合は、遺言書にその理由を書くことをおすすめしています。これを「付言(ふげん)」と言います。
付言は遺言事項(遺言書に書いて有効なこと)ではありませんので、形式等の決まりはありません。相続人が取り合わなければそれまでですが、相続人の心に響いて、遺言内容に説得力を与えることもあります。
もめない遺言書の決め手は「付言」
2番目の遺言書は、遺言事項は、「私の財産は全部妻に相続させます」。ここだけです。ほかはすべて付言事項です。この付言が決め手となって遺言者の想いがかなうことになりました。
1番目のものでは、遺言書の中には書かれていませんでしたが、口頭で伝えたり別紙に経緯を書いたりして相続人に遺言者の想いを伝えています。
形は違いますが、これも付言的な役割を果たしています。付言は時に重要な役割を果たしますので、書き添えておくとよいのです。
ただし、付言は肯定的な内容にしてください。特定の相続人に対して否定的なことを書き連ねると、かえって争族を引き起こす、もめる遺言書になってしまいますので、注意してください。
遺言書を残すにあたって、いちばん大切なことは、遺産をこう分けるという結論だけではなく、どのような想いを持ってその遺言書を書いたのか、ということです。
それが遺言本文で伝わるものであることが何より大切なのです。もし、遺言本文を読むだけでは伝わりにくいのであれば、付言事項を加えて、想いが伝わる遺言書に仕上げていただきたいと思います。
「子どもを幸せにする遺言書」「残された家族を幸せにする遺言書」とは、想いの伝わる遺言書のことをいうのです。
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