相手が不快になるビジネスメールを書かない術 カタカナ用語で「デキる」を演出するのはNG

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しかし、略語、業界用語は身内の言語であり、それ以外の人に通じない可能性も高く、不快感やトラブルを招きやすくなります。

また、業界用語に慣れてしまうと、通常用語との境が曖昧になりがちです。相手との差別化を図るために意図的に使う場合もあるかと思いますが、慎重に使い分けることが重要です。

「ネガティブ表現」を極力避ける

また、相手に心地よく捉えてもらうためには、ネガティブな表現をできる限り避けることが大切です。

例を挙げてみます。

【NG例】
「体調を崩さないようにお気を付けください」 
→(崩す)という表現が△
【改例】
「健やかにお過ごしになられますように」

言霊(ことだま)という言葉が昔からあるように、言葉には魂が宿るとする考え方があります。使用する言葉が、少しでもポジティブ(肯定・楽観)なほうが受け手にとっては、よい印象を与えるのです。

次のような例はどうでしょう。

△ご返信がないので心配しておりました。→心配(悲観)
◎ご返信をいただき安心いたしました。→安心(楽観)

といった具合です。

相手の立場になると、わかりやすいかと思います。

例えば、久しぶりに連絡した友人に、「最近全然連絡なかったから、具合でも悪いのかと思ってた」と反応されたらどうでしょう。抵抗感を覚える人も多いのではないでしょうか。「具合でも悪いのか」というところを、プラスの表現で「最近全然連絡なかったから、メールもらえてうれしい」と言われたほうが、気持ちよいのではないでしょうか。

相手が理解しやすい平易な表現、プラスイメージの語彙を選ぶことが相手との関係性をよりよくしていくことにつながります。

わかり合えることに重きを置いてメール作成を心がけ、信頼関係を育てる有効な手段にしていただけることを願っています。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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