自称「怨念系編集者」の本がバカ売れする理由 ネガティブだからこそ作れる本がある

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とはいえ、自分のスタンスを持ちつつ、周りに助けてもらうバランスを保つのは、組織の中ではなかなか難しいこともある。大坂さんが気をつけているのは、編集者としてのエゴや不満をぶつけない、人を責めない、助けてくれた人には精一杯感謝するという、ごくシンプルで、しかし意外と難しいことだ。

「本を作るにあたって、『こういう本を作りたい』という思いが強ければ強いほど、周囲には『もっとこうしてほしい』という思いがどうしても出てくる。私も、この本がいかに世の中にとって大切で面白い本かは一生懸命伝えますけど、自分のモチベーションの高さを人に押しつけるって、ちょっと傲慢だなと私は思っていて。私が著者さんを大好きなんだから、販売部の人間も100%好きになれって、ちょっと無理がありますよね」

力を抜くからこそ出る結果がある

意識高い系の不遇な編集者から、人に支えられるネガティブ系編集者へ。20代から30代にかけて大きな変化を遂げた大坂さんが、今考える「いい本」の条件とは何だろうか。それは、「自分の世界を肯定してくれる本」と「自分の世界を変えてくれる本」だ。

『天才はあきらめた』はまさに「スター編集者を諦めた」大坂さんを肯定するものだし、『夢の叶え方を知っていますか?』や『やりがいのある仕事という幻想』は、悩みや相談に対して、著者が世界を広げるヒントをくれる作品だ。

「『そんな考え方があるんだ!』と気付きを与えてくれる本でもいいし、知っていることがあってもいい。まったく新しい必要はなくて、本が自分の考え方や知識を肯定してくれたらうれしいですよね。

例えば、『頭に来てもアホとは戦うな!』は、私が人と戦えないので、『戦うな』って肯定してくれていることがうれしいんです。『天才はあきらめた』は、もともと『天才になりたい』(2006)という新書から改稿して文庫化し、13万部を突破した。諦めた途端に結果が出るというのは皮肉だなとは思うんですが……。力を抜くからこそ出る結果があるんだなと思いました。本当に過去の自分に言ってあげたいです。

ただ、編集者として一生に出せる本は限られているので、1冊1冊、心を込めて大事に作っていきたいですね。病的に思い詰めることはなくなりましたけど(笑)」

次ページ悩んでいる人たちが「自分のために作られた」と思える本を
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