日本で「子どもは2人まで」宣言が出ていた衝撃 1974年実施の「少子化推進」が残す深い禍根

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それだけではありません。1990年以降から生涯未婚率は上昇を続けますが、その時期に生涯未婚率対象年齢の50歳になった世代は、1960年代に結婚適齢期の20代後半を迎えた人たちです。1960年代から、すでに結婚できない人たちは増え始めていたことになります。

その頃に何が起きたのでしょうか。1965年頃、お見合い結婚数を恋愛結婚が上回った時期なのです。それ以降、お見合い結婚は廃れ、現在は約9割が恋愛結婚となっていることはご存じのとおりです。婚姻数の減少はこのお見合い結婚の減少に比例しています。

つまり、結婚しなくなった(できなくなった)第一世代とは、1960年代に20代後半だった男女(現在80歳近辺の高齢者)であり、彼らが実質上生涯未婚率を押し上げた最初の世代だったといえます。このように、未婚化は突然変異現象ではなく、50年以上かけてゆっくりと進行していったものなのです。

高齢者人口より独身者人口のほうが多い

もう1つ、多くの方が誤解していることがあります。日本は超高齢社会であることは誰もが知っている事実ですが、実は、その高齢者人口より独身者人口のほうが多いという事実を知る人は多くありません。

2015年時点の国勢調査において、65歳以上の高齢者人口約3280万人に対して、15歳以上の独身者人口(離別死別含む)は約4440万人。独身者のほうが高齢者より1200万人近くも多いのです。つまり、日本とは高齢者の割合が高い「超高齢国家」である以上に、独身者が多い国「超ソロ国家」にすでになっているのです。

さらに、総人口に対する独身者率、いわゆるソロ率は、日本がまだ皆婚社会であった1980年では34%でしたが、2015年には41%と4割を超えました。国立社会保障・人口問題研究所が2018年に出した配偶関係別人口推計(15歳以上)によれば、2040年にはソロ率は47%に達します。人口の5割が独身となり、一人暮らしが4割の国になるわけです。

未婚率の増加、離婚の増加などに伴うソロ社会化は、もはや不可避な現実です。そして、その現実に適応するために、向き合わなければいけない構造変化があります。そのうちの1つは、消費を中心とする経済構造の変化です。常々、私は「結婚は経済」という話をしていますが、結婚数の減少は、経済構造の変化を確実にもたらすでしょう。

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