安倍首相の初夢は憲法改正実現の長期政権 自信過剰で早期墜落の悪夢の恐れも

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安倍首相にとって「政権2年目」は初体験で、未踏の領域だ。再登場1年目は予想以上の好調政権だったが、未踏の2年目、「安倍政治」の実体を見極めるポイントは何か。

消費税率8%実施が4月に訪れ、景気への悪影響とアベノミクスの仕上げとの関係が4月以降、焦点となる。今秋に先送りした内閣改造と自民党人事が14年の6~7月に行われる予定だが、人事に失敗すれば、内紛の火種となり、15年9月の自民党総裁選を1年後に控えて、党内で綱引きが始まる。
 さらに15年10月に消費税率10%への再引き上げが控えていて、決定時期といわれる前年の14年暮れにその決断を迫られる。4月の増税で景気後退成長鈍化となれば、再引き上げの判断をめぐって、政権が危機に直面する可能性もある。

安倍首相の最大の達成目標は、改憲を含む「戦後レジームからの脱却」実現で、1年目は国家安全保障会議新設と特定秘密保護法案の成立に成功した。2年目は、先送りとなった憲法改正のための国民投票法改正、集団的自衛権の憲法解釈変更による行使制限の撤廃に挑むのは間違いないが、難色を示す公明党、「対決路線・猛進型」の「安倍流」に警戒心を抱き始めた国民の反発も予想され、無理押しすれば、民意の安倍離れが加速する。

安倍首相が14年の正月に見る「初夢」は、「15年総裁再選、16年の衆参選挙勝利、18年9月の総裁任期満了までの政権維持、16~18年での憲法改正実現」という長期プランだろう。
 正夢にするには長期の政権維持が前提となるが、好調な経済、高支持率と民意の支持が必須条件だ。1年目の好調政権は、実際は「ツキ」に恵まれた「出来すぎ」という面があったが、その点を見忘れて自信過剰となり、思い込みの理念を振り回して猛進すれば、長期政権どころか、「逆風・窮地での防戦に弱いという短所が再び露呈して早期墜落」という展開もあり得る。
 長期プラン達成をただの「初夢」に終わらせないためにはトップリーダーとして本物の力量と器を備えることが必要だが、未踏の2年目が正念場だろう。

(撮影:尾形文繁)

塩田 潮 ノンフィクション作家、ジャーナリスト

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しおた うしお / Ushio Shiota

1946年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
第1作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤』『岸信介』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『安倍晋三の力量』『危機の政権』『新版 民主党の研究』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活!自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』など多数。

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