再び「キャリートレード」が人気化している理由 トルコリラやブラジルレアルなどで稼げる?
[ロンドン 18日 ロイター] - 今年に入って資産価格のボラティリティが急低下したため、投資家の間でいわゆるキャリートレードが人気の取引の1つになっている。この流れはそう簡単に途切れないというのが大方の見方だ。
キャリートレードは、低金利通貨で資金を調達し、新興国市場などの高利回り資産に投資する手法。成果を発揮するためには、潤沢な流動性や世界経済の落ち着いた状況のほか、何よりも通貨のボラティリティがほぼゼロになっていることが必要だ。そして足元では、ほぼこれらの条件が備わっている。
ボラティリティは、主要中央銀行が利上げの手を休めると決めたことを受けて大きく下がった。ソシエテ・ジェネラルのアナリスト、キット・ジャックス氏は、年初からの市場の「天下泰平」ぶりこそ、キャリートレード成功の完全な処方せんだと話す。実際、外国為替市場のボラティリティは数年ぶりの低水準近くにとどまっている。
その結果、HSBCのグローバルFXキャリー指数に基づくと、今年これまでのキャリートレードのリターンは5.5%に達する。米金利上昇に伴って新興国市場から一斉に資金が流出した昨年のリターンはマイナス1.4%だった。
アムンディ・アセット・マネジメントの外国為替責任者アンドレアス・ケーニヒ氏は、現在はキャリートレードを手掛ける上でまさに教科書通りの環境にあると強調した。
調達通貨と投資先は?
ケーニヒ氏は、トルコリラとブラジルレアルに投資している。いずれも利回りはゆうに2桁台だ。
ロシアの10年物国債を買っている投資家が得られる利回りは8.5%で、メキシコでも利回りは8%。これらのリターンは、現地通貨相場の上昇でさらに高まっている。例えばルーブルはドルとユーロに対して最大6%も上がった。
反対に円、スイスフラン、ユーロは低利回りのため、キャリートレードの資金調達通貨として利用されやすい。スイスの指標国債の利回りはマイナス0.35%、ドイツはプラス0.07%しかない。ただ今年は調達通貨としてとりわけユーロが好まれている。欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の景気減速が続いていることを受け、金融引き締めをさらに先送りしたからだ。