再び「キャリートレード」が人気化している理由 トルコリラやブラジルレアルなどで稼げる?

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アナリストによると、キャリートレードはしばらく続く。少なくとも金利水準が低く、経済データがある程度強いが、中銀に方針の再検討を迫るほどでない状況が終わらない限り。

BNPパリバのエコノミストチームは、目先の主要国の成長率は「あまり冷え込まないものの過熱しないことは確かだ」と予想。そうした見通しは、キャリートレードを維持してボラティリティをショートにする取引の前途が明るいことを意味すると説明した。

低迷組も

過去の経緯を見れば、キャリートレードにもリスクがあることが分かる。

米国の経済成長が弱まったり、世界的な貿易摩擦が激化するか、あるいは10年に及ぶ株式の強気相場が幕を下ろした場合、ボラティリティが跳ね上がり、円やユーロ、スイスフランといった安全通貨が高騰する一方、リスクの高い新興国資産は打撃を受ける。

しかし全体としてキャリートレードに追い風が吹いている局面でさえ、一部の資産を対象とする取引はうまくいかないケースもあるだろう。

確かに昨年3.8%下落したMSCI新興国通貨指数は年初来1.6%上がっているが、その裏でいくつかの個別通貨は低調な値動きにとどまっている。

国際金融協会(IIF)のエコノミスト、ロビン・ブルックス氏は、米連邦準備理事会(FRB)が1月に予想外のハト派転換を見せて以来、南アフリカランドやトルコリラは実際には弱含んだ一方で、インドルピーやマレーシアリンギといったアジア通貨は上昇したと指摘。この「謎」をもたらしたのは、FRBの軌道修正に対する投資家の反応ではなく、米中貿易協議合意への期待だとの見方を示した。

キャリートレードは既にポジションが相当積み上がっているという事実も軽視できない。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータでは、投機筋のドルに対するメキシコペソの取引姿勢は1月は中立だったが、直近では23億ドルの買い持ちとなっている。

アムンディのケーニヒ氏は、年初来の高利回り通貨の力強い反発を踏まえると、ボラティリティの復活のみならず相場水準自体にもリスクがあると警戒し、これからのキャリートレードは望ましい戦略とは言えないと付け加えた。

(Tommy Wilkes記者)

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