ロストフの14秒、川島永嗣が痛感した8強の壁 ベルギーに逆転負けを喫したW杯から早8カ月

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「選手というのは批判されるもの。批判を恐れていたらいいプレーはできないし、前にも進めない。特にGKはそういう役割だと思いますし、僕は何も恐れていません。ただ、1選手として『正しい報道をしてほしい』というのは、つねに願っていることです。

そうではないケースは海外でもあります。フランスリーグでも、4失点したGKに対して解説者が『あのGKは1本もセーブしてない。ボールにすら触れていない』と批判的に言うのを見ますけど、GK目線で見ればノーチャンスなものが多かったりします。『このシュートはこう止めるのがセオリーだ』といった目線を与えてくれたらいいのに、と僕は思います。

今は、見る側や聞く側が本当に何が正しいのかきちんと判断すべき時代なのかなと。いいプレーの基準を持つことも求められている気がします」と川島は冷静に語る。

彼が言うように、一方的なGK批判をしているだけでは日本代表がワールドカップで勝てるようにはならない。見る側がサッカーを学び、見る目を養っていくことも、レベルアップに不可欠な要素。それはわれわれが再認識しなければならない点だ。

チームとして浮足立っている感じはなかった

苦しみ抜いたグループステージを経て、川島はベルギー戦のピッチに立った。日本は前半から猛攻を受けながら耐え忍び、0-0で前半を終了。後半立ち上がりに原口元気(ドイツ=ハノーファー96)と乾貴士(スペイン=アラベス)が立て続けにゴールを決め、2-0でリードした。この時点で「8強の壁を破れるのではないか」と日本国民の多くが思っただろう。ゴールを守っていた川島は「ここで守りに入ったらまずい」と考えていた。

「2-0になって勝利のチャンスが広がったとは感じました。でも『自分たちが勝てる』と思ってしまったらヤバイというのはありました。それを自分がどう後ろからコントロールできるのか……。そのことに思いを巡らせていました。あの大歓声の中、思うように声も届かなかったけど、チームとして浮足立っている感じはなかったですね」と彼は述懐する。

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