せっかく見学に来ても、実際には100%民間資本による人口減少前提のオガール型の復興施設を作ったところは100以上の市町村がやって挙句、残念ながらほとんどありません。
オガールの成功事例と経験が全くといっていいほど、使われていません。それどころか、なんと、この期に及んで、人口増加を前提とした復興案を地方議会が提出しています。政府から莫大な補助金を得るだけならまだしも、今後の維持管理費をどうするのか、と言いたくなるような巨大なハコモノ施設が、東北中で次々と建設、完成しつつあるのです。
現実的ではない夢を追いかけても、復興は実現しない
例えば釜石市は、現在の人口は紫波町と変わらない3万人強の市ですが、新日鉄ができる前の1960年代には9万人弱の人口がありました。それが震災前までに減少をし続けて3万人台になっているのに、多くの箱物を建設中です。市は謳ってはいないものの、はたから見ると、まさか釜石市の人口が増えると考えているのでは?と思ってしまいます。人口減少は震災のせいでもなんでもなく、震災前から起きていた現象なのです。しかし、国から援助を受けつつ、そういうものを建設している。
これは、何も釜石市に限ったことではなく、東北の被災地でこの種の開発がなされているのが現実であります。どうして、今のこの世の中に、震災前から人口が減少していた町の人口が増えるという前提に立てるのか。ここには皆様の貴重な税金がぶち込まれているんですよ。他人ごとではありません。
果たしてこれが本当の復興なのでしょうか。
根拠もない人口増加を前提として復興計画を出し、震災前の姿を取り戻そうと思っているのだとしたら、何か間違ってますよね。最初はオガールに協力を求めてきても、このあたりの話で必ずブレーク(破綻)します。「一体どうやったら人口が増えるのか、具体的な対策を見せてくれ」と言っても、ただ「人口が増える」としか書いていなかったりします。
仮に膨大な外国人を連れてきて字面の人口を増やしても、最初は稼いでくれませんので、その社会コストの維持だけで精一杯になることは目に見えているでしょう。どうして現実的でない夢を追いかけて、それが復興ということになるのでしょうか。
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