教室はショールーム、ABCクッキングの最強戦略 NTTドコモと資本提携解消、海外拡大に活路

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ただ、ここ数年は国内の商業施設の開業数が伸び悩んでいる結果、ABCのスタジオ数も同様に頭打ちの状態となっている。

頭打ち状態をいかに脱し、再成長にシフトするか。その一策がNTTドコモとの提携であり、料理動画コンテンツの強化だった。しかし、成長の道筋は思うように描けず、ドコモとの提携解消に至ったというのが本当のところだろう。では、「ドコモ提携解消後」に何を見据えるか。それが海外での収益拡大だ。

すでにアジア地域に積極展開している。2010年の中国・上海でのスタジオ開業を皮切りに、今ではアジアの8カ国17都市で計37教室を展開。海外の会員は日本同様、20~30代の働く女性が中心で、会員数は約5万人にのぼる。

米ロサンゼルス進出も検討

アジア市場では日本以上に「コト消費」のニーズが高まっている。ABCのスタジオにも「日本の家庭料理」に触れられるというエンターテインメントの要素を求められるという。だからこそ、料理のスキルを教えるだけではなく、コミュニケーションを通じて生徒に居心地のいい空間を提供することが要求される。それは日本のスタジオとまったく同様だ。

「料理を教えることさえすれば客が集まると考える競合は多いが、当社のようなチェーンオペレーションを持っているところはない。細部まで簡単にまねできない」と柴田取締役は胸を張る。

そしてアジアに続く市場として視野に入れるのが、アメリカだ。柴田取締役は「アメリカの1号店として、ロサンゼルスの大型商業施設内へ今年中に出店する」と明言する。英語圏であるシンガポールで育成した人材をアメリカに投入し、アジアに集中してきた海外展開を今年から本格化させる。

料理とコミュニケーションを融合させたABCクッキングの戦略がアメリカでも成功するかどうかが、同社の再成長のカギを握っている。

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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