そろばんが「数字に強くなる」最適な手段のワケ

右脳トレーニングを目的にしている国もある

日本と海外のそろばん教室は、そのゴールに違いがあります。日本では一般的に珠算検定への合格を目指して学習を進めます。「そろばんを鍛えていけば、自然と暗算力がつく」という発想でそろばんを練習しているのです。

一方、海外の教室が目指すのは、そろばんを上手に使えることや検定合格ではなく、暗算力を身につけることや右脳を鍛えること、そしてそれらの能力を算数や数学、ひいては生活に活かす応用力をつけることです。

海外では「両手式そろばん」が主流

暗算オリンピックでもう1つ驚いたことは、そろばんをはじくように暗算していた子どもたちの多くが両手を使っていたことです。日本では片手でそろばんの珠をはじくのが主流ですが、右脳トレーニングを目的としている海外では、両手を使うことで左右の脳をバランスよく刺激することや迅速に計算できることから「両手式そろばん」が主流となっています。

そろばんで身につけた暗算のことを「そろばん式暗算」といいますが、脳科学の研究をしてきた河野貴美子先生の研究によると、そろばん式暗算ではイメージをつかさどる右脳を使用していることがわかっています。そろばんを使うときは手を動かして計算しますが、習熟していくと頭の中に珠をイメージして、実際に珠をはじかなくても暗算ができるようになります。

この右脳による記憶は、筆算式暗算の左脳による記憶に比べて高速で画像処理することができるため、そろばんの達人が大きな桁の暗算を軽々とやってのける理由もうなずけます。また、そろばん式暗算を使いこなす人の中には、歴史の年号や電話番号を「珠の配置」で覚えている人もいるようです。

そろばんは視覚的・直感的に数を捉えるのに優れた教具なのです。幼稚園でも、果物の絵の描かれたカードなどを使って、具体的にイメージできるように教えることがありますが、そろばんを使えば同じように「数」という抽象的な概念を「珠」という具体的なモノでイメージすることができます。

海外のそろばんのゴールは、そろばん自体の技術向上ではなく、数学全般や日常生活といった、そろばん以外の分野への応用だというのは前述のとおりです。しかし、さらにその先にある本当の価値は、数字を通して世界の人々とコミュニケーションできることでしょう。

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