「ファスナー開いてるよ」と女性に言える上司力 シェリル・サンドバーグが私を変えた2分間
「でも、ダメなところがあったんですよね?」
シェリルは笑った。「もっとよくできたんじゃないかと、そっちばっかりに目が行ってしまうのね。わかる。わたしもそうだから。成功より失敗から学ぶことのほうが多いものよね。でも、今この瞬間は、うまくいったことに目を向けてほしい。全体としては本当にうまくいったんだもの。大成功だった」
わたしは精一杯耳を傾けた。最後にシェリルがこう言った。「あなた、何度も『え~っと』って言ってたわ。自分で気がついてた?」。
「あぁ」と返した。「わかってます。しょっちゅう言ってますよね」。まさか、わざわざそんなことのためにわたしと一緒にオフィスに引き返したなんて、ありえない。言葉に詰まって何度か「え~っと」とつぶやいたからって、誰が気にするわけ?
「緊張してた? 話し方のコーチを紹介しましょうか? グーグルが費用を持つから」
「別に緊張してませんでした」。ハエでも追い払うように手を振りながら、わたしは答えた。「ただの口癖だと思いますけど」。
「しゃべり方なんて小さなことで、あなたにつまずいてほしくないの」
「わかってます」。また手で追い払う仕草をしてしまった。
シェリルは笑った。「その手の動き、わたしの言ってることをあなたが気にしてないみたいに見える。もっとはっきり言わないとわかってもらえないようね。あなたはわたしの知り合いの中でも最高に賢い人なのに『え~っと』って言ってるとバカっぽく見えるのよ」
その言葉にハッとして目が覚めた。
シェリルはもう一度助けの手を差し伸べてくれた。「話し方のコーチに助けてもらえば、『え~っと』は治せる。すごくいいコーチを知ってるの。大丈夫、絶対に治るから」。
たった2分のフィードバックが生み出すインパクト
ここで、シェリルがどう状況に対処したかを考えてみよう。わたしのプレゼンテーションは全体としては成功だったけれど、結果オーライだからといって、シェリルはわたしの改善すべき点を見逃さなかった。彼女はその場で手を打った。グーグルでのわたしの評判に傷がつかないように配慮してのことだ。
そのプレゼンテーションで良かった点をきちんと褒めてくれた。大げさなお世辞の間に批判を「紛れ込ませる」ようなことはしなかった。まずは優しく、しかもはっきりと、どこに問題があったかを教えてくれた。
わたしが聞く耳を持たないことがわかると、もっとズバリと指摘した。それでも、「個人攻撃」にならないように気を遣っていた。わたしが「バカ」なのではなく「バカっぽく見える」と言った。そして、わたしを独りにしなかった。具体的な助けを差し伸べてくれた。
わたしは自分を欠点だらけの間抜けだと感じなくて済んだ。むしろ、シェリルが投資してくれるだけの価値のあるチームメンバーだと思えた。とはいえ、少しも傷つかなかったと言えばウソになる。
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