「ファスナー開いてるよ」と女性に言える上司力 シェリル・サンドバーグが私を変えた2分間

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〈イヤミな攻撃〉

もしこれが、人前でわざと受けを狙って、チャックが開いていると大声で言ったら「イヤミな攻撃」になる。だからといって、アレックスにすると最悪の事態でもない。問題解決の機会を与えてもらったわけだから。

〈過剰な配慮〉

シャイなアレックスが恥ずかしがると思ったら、何も言わないかもしれない。それは「過剰な配慮」だ。アレックスのチャックから白いシャツの裾がはみ出ているのを、何人もの人が見ることになる。アレックスが気づく頃には、かなりの時間が経っている。結局もっと恥をかくだろう。アレックスは、なぜあなたが教えてくれなかったのかと思うかもしれない。

〈摩擦の回避〉

あなたが自分の体面や評判を気にして彼女に何も言わなかったとしよう。アレックスの気持ちをおもんぱかったのではなく、自分のことを考えて言わなかった。人に好かれることばかり気にかけて、アレックスに何か言うと嫌われるんじゃないかと心配している。アレックスに何か言っているところを人に見られたら、自分がどう思われるかが心配なのだ。だから何も言わずに通りすぎる。「摩擦の回避」だ。

ただの「言いたい放題」ではない

「徹底的なホンネ」とは、誰かに八つ当たりしたり、相手を正面から攻撃していいということではない。「ホンネに徹したい」と前置きすればいいというものでもない。その後に、「お前なんてクソ」なんて言葉が続いたら、最低だ。「心から気にかけている」ことを伝えなければ、「徹底的なホンネ」の関係は築けない。

また、面と向かって誰かに反論するには、かなりのエネルギーがいる。反論する側も、される側もそうだ。だから本当に大切な相手にだけ「徹底的なホンネ」を使ってほしい。

そして「徹底的なホンネ」は上下関係だけに使われるものではない。上司に対しても、部下に対しても、同僚に対しても「徹底的なホンネ」を実践してほしい。上司や同僚がこのやり方を信じていなくても、あなたとチームメンバーの間にこの関係を作ることはできる。もちろん、上司や同僚に対しては、少し慎重に事を進めてもいい。

とはいえ、もし上司や同僚と最後まで「徹底的なホンネ」の関係を築けないとしたら、違う場所で働いたほうがいいのではないだろうか。

キム・スコット Candor, Inc.共同創設者・CEO

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Kim Scott

FCC(アメリカ連邦通信委員会)の上級政策顧問、コソボの小児科医院のマネジメント、モスクワでのダイヤモンド切削工場開設、ソビエト企業基金のアナリストなどの異色のキャリアを経て、ジュース・ソフトウェア(Juice Software)の共同創設者となりCEOに就任。同社破綻後グーグルで、アドセンス、ユーチューブ、ダブルクリックの営業と運用チームを率い、アップル大学の教員を経て、キャンダー・インクを創設。現在、ドロップボックス、ツイッターほか、いくつかのハイテク企業でアドバイザーを務めている。夫のアンディー・スコットと双子の子どもとともにサンフランシスコのベイエリアに暮らす。また3冊の小説を上梓している。

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