パナソニック社長、在任8年でも退任できぬ事情 「ポスト津賀」には「4人のキーマン」が浮上

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1人目が、中国・北東アジア社長に就任する本間哲朗氏(57)だ。現在、家電事業のトップを務める本間氏は、プロパー出身で、津賀氏が社長に就任した2012年から経営企画担当として会社の立て直しにあたってきた。従来から社長候補最右翼の人物として名前の挙がっていた人物だ。

いつもメモ帳を持ち歩き、幅広いメディアに目を通して情報収集するなど、緻密な一面が目立つ一方で、「非常に大きな視点で決断をすることのできる二面性がある」(ある役員)。

台湾留学の経験を持ち、中国語はお手のもの。新中計において柱となる中国市場において、IoT家電と住宅を中心に勝負をかけるという重要な役目を任されたことからも、期待値の高さがうかがえる。家電のトップ就任時には、「事業に専念するため」(本間氏)、一度代表取締役を外れたが、今回復帰している。

住宅と連携してIoT家電拡大に挑む

2人目のキーマンが、中国事業を成功させるキーとなる家電事業、アプライアンス社を率いることになる品田正弘氏だ(53)。これまで、ブラジル事業やテレビ事業、2017年からはソーラー事業など、赤字事業の立て直しに辣腕をふるってきた。

特に、直近のソーラー事業に関しては、テスラの太陽光発電製品「ソーラールーフ」向けに電池を供給する再建の青写真を描いていたところ、2018年にテスラが急きょ大幅な事業縮小を発表。そんな窮地を、ほかの供給先を開拓することで乗り越え、「赤字は続いているものの、危機から脱出するうえでのメドをつけた」(社員)という。

4月から担当する家電事業は、まずは足元の業績悪化を食い止めることが急務。そのうえで、住宅事業と連携してのIoT家電などの拡大に挑むことになる。

品田氏と同様、50代前半でのカンパニー長就任となったのは、オートモーティブ社長に就任する楠見雄規氏(54)。研究所からキャリアをスタートさせ、テレビ、車載電池へ進むなど、津賀社長とほぼ同じ「王道コース」を歩んでいる。厳格で合理的な人柄ながら、部下に慕われる親分肌の一面もあり、津賀社長も「非常に信頼している」と一目置く。

これまでは車載事業の副社長だったが、上席副社長の田村憲司氏を追い越してトップに就任することになった。

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