お見合いパーティの「回転ずし」とは、参加者の特性を考慮したうえで、効率的に異性との出会いを演出する、ある意味すぐれたシステムです。まずは「回転すし」が生み出された背景から説明しましょう。
時はバブル崩壊後の1992年にさかのぼります。その頃、交際相手を探すパーティは「ねるとんパーティ」と呼ばれていました。これは当時、放送されていた集団お見合い番組「ねるとん紅鯨団」の人気にあやかってのこと。
当初「ねるとんパーティ」では、特段ルールがなく、参加者は自由に行動できました。このため、積極的に女性にアプローチする少数派の男性が成果を得て、今でいう草食系の男子(=こちらが多数派)は壁の花として何もできないまま終わる、ということが常態化していたのです。
ちなみに私の友人C君は「ねるとんパーティ」を評して、「ディスコよりいいよー。だってさ、声かけて『私、踊りにきてるから…』って断られないじゃん」と言い放ちました。つまり、この手の猛者、その筋のモテ男がいい思いができる場だったのです。
なぜ「回転ずし」と呼ばれるのか
同じ料金を払っているのに、ごく一部の顧客にリターンが集中し、その他大勢に何もないなら、ビジネスとして発展性がありません。そこで登場したのが、「回転ずし」です。
これは女性にアプローチする機会を、参加者全員に均等に割り当てるシステムです。具体的には、円陣を組んで席に腰掛けた女性の回りを、男性が席を一つひとつ移動しながら一周し、参加者全員と会話をします。男性がベルトコンベアに乗せられたマグロやかっぱ巻のようなので、「回転ずし」と呼ばれているわけです。
もうひとつ付け加えると、参加者の大半は草食系男子や人見知りの女性。だから、初対面の見知らぬ異性と会話を成立させるのは難しい。そこで考えられたのがプロフィールカードです。
これは名刺より少し大きめのカードに、名前や年齢・職業・学歴・出身地・趣味、そして男性の場合には年収などを記載するもの。このカードをお互い交換して話題にするのです。
つまり「回転ずし」システムと、「プロフィールカード」というツールによって、わずか数千円で婚活中の異性20~30人といっぺんに出会え、しかも全員と話ができるようになったのです。
結果、20年後の今日もビジネスは盛況。「ねるとんパーティ」は、いつしか「お見合いパーティ」とその名を変え、婚活の有力な手段として世の中に認知されるようになったのです。
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