いだてん「天狗倶楽部」が残したスポーツ遺産 野球、学生相撲、大学応援団の基礎つくる

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大河ドラマ「いだてん」に登場する天狗倶楽部はスポーツ普及に力を入れた。とくに大学野球の歴史には欠かせない存在だ(写真:KAORU/PIXTA)
大河史上最速で視聴率1桁に陥落したNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』。従来の大河ファンからの評価はイマイチだが、一方で、「俳優陣の熱演がすばらしい」「クドカンらしさは大河ドラマでも健在」と評価する声もある。そんな今年の大河で話題になっているのが、「T・N・G!!」の叫び声でエネルギッシュに盛り上げる「天狗倶楽部」なる組織だ。そのアツすぎる姿は視聴者の心をつかんだが、実はスポーツの振興に大きく貢献し、現在のスポーツ活動の枠組みをつくった進取的な団体でもあった。

筋肉美を披露してSNSでも話題に

大河ドラマに登場する「天狗倶楽部」の主要メンバーは、ワイルドな髭がトレードマークの応援団長・吉岡信敬(しんけい/満島真之介)。創設者で冒険・SF小説作家の押川春浪(しゅんろう/武井壮)、「天狗倶楽部」のナンバー2で工学博士の中沢臨川(りんせん/近藤公園)の3人。

初回放送では、『いだてん』の主人公・金栗四三(かなくり しそう/中村勘九郎)とともに日本人で初めてオリンピックに出場した三島弥彦(生田斗真)と園遊会へ乱入し、鍛え抜かれた筋肉美を披露してTwitter上で話題となりトレンド入りした。

あまりにチャラすぎるので、脚本を手がける宮藤官九郎氏が創作した団体と勘違いした人も多いが、本当に実在した団体である。これだけキャラの濃い団体がさほど知られていないのは、その来歴を語る資料があまりに少ないからだ。それでも、2019年1月に亡くなったSF作家・横田順彌(じゅんや)氏の著書から、彼らの豪快エピソードをうかがい知ることができる。

明治の終わりから大正にかけて一世を風靡した「天狗倶楽部」を創設した押川春浪は、当時の冒険小説ブームをけん引した当代随一の人気作家だった。彼が主筆を務めた雑誌『冒険世界』も大ヒットし、流行を発信するインフルエンサー的な役割を果たしていた。そんな彼が目を向けたのが、当時はまだほとんど浸透していなかったスポーツだった。

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