いだてん「天狗倶楽部」が残したスポーツ遺産 野球、学生相撲、大学応援団の基礎つくる

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また、「天狗倶楽部」は学生相撲の発展にも貢献している。結成間もない頃に相撲好きの小説家・江見水蔭率いる「江見部屋」と対抗試合を行ったが、これが最初のアマチュア相撲だったといわれる。これをきっかけに多くの相撲団体と対抗試合を行い、学生相撲の原点となる「国技館学生角力(すもう)大会」の開催につながった。

「天狗倶楽部」のメンバーも相撲をとったが、彼らの四股名(しこな)は中国の歴史小説『水滸伝(すいこでん)』の登場人物だった。小兵力士として活躍し、関脇まで昇進した玉椿(たまつばき)憲太郎も「天狗倶楽部」のメンバーである。

そして、大河ドラマでも描かれているストックホルムオリンピックの代表選手予選では、三島弥彦が飛び入り参加で100m、400m、800mで優勝、200mで2位の好成績を収め、代表選手に選ばれている。ストックホルムへ旅立つ際には、「天狗倶楽部」のメンバーも見送りをしている。

「天狗倶楽部」の名前の由来については諸説あるが、豪快なエピソードが多かったことから「天狗」と呼ばれるようになったといわれる。

スポーツ活動の後は宴会が行われたが、「天狗倶楽部」のメンバーの多くは酒好きだったことから失敗談も数えきれないほどある。とくに有名なのが、押川春浪のせいで中沢臨川に降りかかった“悲劇”のエピソードである。

「天狗」にふさわしい痛快エピソード

ある日、浴びるほど酒を飲んだ春浪は臨川の家に泊まったが、夜中に尿意をもよおして近くにあったビール瓶に放尿してしまう。翌朝、臨川がそのビールを飲んだところ、いつもと味が違うことに気づく。慌てて春浪が白状すると、臨川は「腹の中を素通しにしてきたんだ。いくらも真物と変わらない」と気にもとめなかったという。

満島真之介が演じる吉岡信敬のド派手なパフォーマンスも見逃すことができない。「虎髭将軍」と呼ばれるほど立派な髭をたくわえ、穴あき靴をはいて通学するなど、彼の生き様は「バンカラ」そのものであった。早稲田大学応援隊の隊長を務め、各種スポーツの現場に姿を現して全国にその名をとどろかせた。

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