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「3年A組」のヒットが示すテレビの希望と絶望 思い切って挑戦するか、安全な橋を渡るか

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  • 木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者
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この先も高齢化社会が続くとはいえ、安易な1話完結の事件ドラマの量産は、「消費に直結しやすい10~30代にリーチしづらい」など、未来の発展性に欠けるのは明らか。実際、各局の営業マンなどから「そこそこ視聴率を取っている割に売り上げはよくない。スポンサー受けも微妙」という声をしばしば聞くようになりました。

誤解のないように書いておくと、「1話完結の事件ドラマがよくない」というわけではありません。「テレビが現在置かれている市場にフィットしない視聴率という指標に基づいた戦略を採り、似たタイプの作品に偏ってしまう」ことが問題なのです。

「3年A組」「おっさんずラブ」「今日から俺は!!」のように、思い切ったものに挑戦してベストを狙うのか? それとも、1話完結の事件ドラマでベターを目指すのか? 柊が生徒たちに繰り返し問いかけている「Let’s think!(考えてみよう)」は、テレビマンたちにこそ必要なメッセージに見えるのです。

柊一颯から学ぶべき「挑戦」と「熱さ」

いずれにしても「3年A組」は、「ネット上でトップクラスの反響を得ている」「若年層の注目と支持を集めている」など、同作にとどまらずテレビそのもののポテンシャルがいまだに高いことを証明しました。

命を賭して生徒たちに訴えかける柊の姿から感じるのは、1980~1990年代前半のテレビ番組によく見られた「挑戦」と「熱さ」。前述したように、1話完結の事件ドラマに偏り、多様性が失われているのは、これらから遠ざかっているからでしょう。

往時の「挑戦」と「熱さ」を忘れ、多様性が失われているのは、ドラマだけでなくバラエティーも同様。最低限の視聴率を確保するために、中高年向けの生活情報系番組や日本礼賛番組、ファミリー層向けのクイズ番組を量産したことで、若年層を中心に「テレビは同じようなものばかり」という印象が定着してしまいました。

本来、優秀であるテレビマンたちが、そんな問題点をわかっていないはずがありません。しかし、彼らも一企業のサラリーマンだけに「目の前の数字を大きく落とすわけにはいかない」「だから自分の代では長年の商慣習を変えられず、問題を先送りにしてしまう」というジレンマを抱えているようです。

「3年A組」が特別ではなく、視聴者に「挑戦」と「熱さ」を感じさせる番組が各局にあふれている。そんな状況が再び訪れたら、テレビはまだまだエンタメのトップを走り続けられるのではないでしょうか。

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