インドで大切なのは、エモーション。 違うけど、いっしょ。とアルンは言った。

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人間には共通するエモーションがある

インド人には、いろんな宗教のやつがいて、いろんな言語が存在して、

いろんな文化やルール、服装や思想がある。あるやつは外にいったり、

近隣国から入国してきたりする。それだけじゃない。シンガポールや

アメリカ、ミィユ~ゥラ(三浦、ボクのこと)みたいに日本からだって

人が来る。それぞれ人種は違うし、言葉も違う。

だけど、さっき言ったように、バックグラウンドの違うインド人が

そもそもたくさんいるわけだ。

ここは1つの国だけど、違う人々の集まりってわけだよ。

だから、バラバラになったり、コミュニケーションが難しそうだと

思うだろ?それは違うぜ、 ミィユ~ゥラ。

オレたちは人間には共通する感覚っていうものがあると信じてる。

違うからこそ、いっしょの部分を大切にするんだが、

それがなんだかわかるか? 「エモーション」だ。

どんなに違っても、人間には共通するエモーションがある。

だから、インドではエモーショナルなものが大切にされるわけだ。

 

広い国土に、たくさんの県があって、それを28の州と7つの

連邦直轄領に分けている。インド人というインド人はいないかも。

テレビを見ながら、こんなインド人もいるのか、とインド人が言う

くらいなので。自家用機を持つ億万長者もいれば、風をしのぐのに

毛布1枚しかない貧富の差もある。そんな集合体という意味では、

まるでヨーロッパのような、アメリカ合衆国のような感覚である。

だからこそ、「違うけど、いっしょ。」という考え方。

日本にいると僕ら日本人は、違う部分を探し、そこへ注目を集める。

いっしょだけど、違う。という順番になっていないだろうか。

アルンは、ヤバい。

 

 

 

 

 

 

アルンは、続けて言う。

ミィユ~ゥラ、オレはエンジョイすることが大好きだ。

人生をエンジョイで満たしたい。エンジョイのために人生がある。

そんなオレが、いま神様にお願いするなら、何をお願いすると思う?

神様、オレにエンジョイをください、だぜ! ハッハッハ!

アルンは、残りのウィスキーを一気に飲み、帰るか!と席を立った。

……インド人はエモーショナルだね。

というかアルンが、そういうやつなだけ?

だけど少しだけ、彼らと距離が近くなった気がした夜だった。

三浦 北斗 コピーライター CMプランナー

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みうら ほくと / Hokuto Miura

1982年、愛知生まれ、福岡育ち。2006年、慶応義塾大学SFCを卒業後、電通に入社。広告制作をはじめ、バンダイ就活応援ソングなど作詞作曲も多数手がける。海外の現地クライアントの広告制作も経験する、新世代の若きクリエーター。ニューヨークフェスティバル、読売広告大賞グランプリ、TCC新人賞など、受賞多数。

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