近頃、この国では「キャッシュレス、キャッシュレス」と騒がしいが、私たちに身近な銀行もその波をもろにかぶっている。
現金決済のインフラ維持には年間約1兆円もかかるとか、ATM運営コストは2兆円だとか、それらを背景にキャッシュカードはどんどんデビット機能付きに切り替わり、取引手数料は値上げされ、ネットバンキングアプリへと誘導されていく。
もちろん、営利事業である以上、銀行がムダを切り捨てて合理化に進むのは仕方がない。しかし、それでわれわれ利用者に不便になっていないかどうかは、しっかり検証する必要があるはずだ。
筆者は仕事柄、「よりオトクな銀行はどこか」をつねに考えている。しかし、最近は上記のように各行のサービスが変容しつつあり、正解は目まぐるしく変わる。われわれはどの銀行と付き合うべきか、付き合いを考え直すべきか。筆者の視点からジャッジしてみようと思う。
なお、今回の俎上に載せるのはメガバンクとネット銀行に限ることと、独自の視点のため、セレクトから漏れる銀行も出てしまうことをご理解いただきたい。
サービス改悪でがっかりした銀行は…
ここ数年、銀行においては手数料改定の動きが目立ってきた。なかでもコンビニATMの利用手数料の改悪が相次いでいる。例えば、新生銀行。
それまで新生銀行は、口座保有者なら条件なしに「主なコンビニATMで土日祝日含めて24時間手数料0円」を売りにしてきた。筆者もそのサービスを評価し、これまでずいぶんお勧めもしてきたものだ。
ところが2018年10月から、新生銀行はその看板を下ろしてしまった。取引内容によりランク付けされる「新生プラチナ」「新生ゴールド」「新生スタンダード」のうち、スタンダードの顧客を無料から外し、引き出し1回ごとに108円(税込み)がかかると変えてしまった。なお、スタンダードとは外貨や投信などを利用せず、円預金があっても残高が100万円に満たない人が該当する。
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