「離婚した男性」の自殺はなぜこんなに多いのか 失業・離婚と自殺率の関係を分析してみた

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私はこうした既婚男性だけに特徴的な状態を、「既婚男性の妻唯一依存症候群」と呼んでいます。既婚男性でも、子育て中や仕事に邁進しているときには出てきません。

子どもが独立し、定年退職して無職になった既婚男性(特に、現役中仕事に没頭し、無趣味な人)が突然発症するパターンが多いようです。まるで母親に甘えるがごとく妻に依存してしまいます。妻を大切に思うことと、妻だけに依存してしまうこととはまったく違います。

この連載で何度も申し上げていることですが、既婚者もいつかはソロに戻る可能性があります。平均寿命の延びに従って、夫が妻より長生きする場合も増えます。忘れてはいけないのが、熟年離婚の増加です。結婚後20年以上の離婚は、毎年確実に増加し、2017年は離婚総数内の構成比19%を超えました(人口動態調査)。

「人とのつながり」をためておく

私は、こういった話を対面調査で何人もの方とお話ししていますが、多くの既婚男性が「うちだけは大丈夫だ」と言って、あまり聞く耳を持ってくれません。自信は大事ですが、一度客観的にご自身の内面および夫婦の関係性を棚卸ししてみてはいかがでしょう。

頼れる人が1人しかいないとか、居場所が1カ所しかないという「選択肢が1つしかない唯一依存」が最も危険なのです。配偶者だけに依存しきっている男性が、配偶者を失って陥るのはまさにそうした空虚感で、相手の存在が消えるとともに自分自身の存在も見失うのです。

学生時代や職場で知り合った以外の友人は、今何人いますか?
名刺交換なしに誰かと気さくにお話しすることができますか?

老後のために資金を貯金することも大事ですが、「人とのつながり」をためておくことを忘れないでほしいと思います。繰り返しますが、未婚者より既婚者のほうがそうした危機感がありません。結婚している男性のほうこそ、万一の際に備えて、自身のネットワークを拡充していってほしいものです。

もちろん、浮気を推奨しているわけではありません。人との関係性が配偶者だけになっていないかを確認してほしいのです。学び直しをするもよし、何か新たに仕事を見つけることもよし。とにかく、人と接続する機会が大事です。それが、結局は結婚生活を長続きさせることにつながると考えます。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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