沖縄の世論を動かした若者たちの断固たる行動

分断と歴史、葛藤の島でもがく若者たち(3)

ハンスト1日目を終えた深夜、大城さんは得意の英語でFacebookに長文の文章を投稿した。「私たちはハンガー・ストライキに入ることを決めました。できれば、世界に広めてほしい」といってハンストの目的と、これまでの経緯を詳しく記した。シェア数は450件近くに達した。

「許可取ってるんかあ!」と右翼の攻撃

2日目から翌日にかけては小雨模様で気温が下がる。夜中には13℃台に。沖縄でこの寒さはこたえる。大城さんは、インスタグラムにこう書き込んだ。

「My heart aches so much」(私の心が痛む)

小雨のうえに、これだけ肌寒い。空腹感に耐えるのはつらそうだ。それでも頑張る姿を見て、苦しかった。2日目を終えた深夜だった。大城さんらサポートメンバーが話し合った。終わりは誰が決めるの? 元山さんに何かあったら、どうするの?

疲れているのに申し訳なかったが、本人を起こして尋ねてみた。

「見ていて、きつい」と大城さんは伝えた。

元山さんは、仲間の不安を受け止めながらも、「みんなの意見はわかるけど、5市の市民の投票権は奪われたまま。身体的にはまだいける。僕は続けたい」と答えた。

署名集めがうまく回らないときも、元山さんの悠然と構えていた姿を思い出した。

「大丈夫。彼の言葉を信じよう」

3日目、大城さんの心は少し軽くなっていた。ハンストと同時に集めていた県民投票実施を求める請願書の署名に訪れる市民の姿も増えてきた。だが、今度は右翼の攻撃にさらされることに。

街宣車に乗った右翼が道路から大音量のスピーカーで追及してくる。

「市役所の許可を取ってんのか! 不法にテントなんか立てておかしいだろ! ルールを守れないのか!」

元山さんたちは、市役所には文書で「ご迷惑をおかけします」とは断っているものの、正式な許可を得たわけではない。そこをついてきている。署名に訪れる市民が遠巻きに眺めている。サポートにやってきた大学生らの表情も少し強張っている。

すると、テント内で身体を休めていた元山さんが表に出てきた。テント前で仁王立ちだ。右翼が「元山君!」とターゲットにして攻め立てる。だが、元山さんは、最後まで矢面に立ち続けた。

大城さんらスタッフは、この日から元山さんの体力を温存するために、個別取材の代わりに時間を決めて会見を開くことにした。私は、元山さんからハンスト初日に話を聞いただけで、あとはずっと現場に立って様子を眺めているだけだった。「メディアへの対応がいちばん体力を消耗します」という彼の冗談ともつかぬ言葉が耳に残っていたからだ。でも、どうしも「仁王立ち」の真意が聞きたくて、元山さんがひとりになったときに、1つだけ尋ねてみた。

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