京都で「見過ごされた町」が人気化するワケ

若者や外国人は過去の歴史を気にしない

京都の崇仁地区にできた「崇仁新町」は、連日若者や観光客でにぎわっている(筆者撮影)

土地に貴賤(きせん)はない。だが、人間は古くから卑しむべきとする土地を作ってきた。そうした場所の発祥にはさまざまな要因が言われるが、今回はそれが主題ではない。取り上げたいのは今、日本全国で、その土地に災害に弱いなどの合理的な理由がなく、かつ利便性が高い土地であれば積極的に使おうではないか、という動きが起きていることである。

たとえば2017年4月には、大阪のあいりん地区に隣接する新今宮に星野リゾートが都市型ホテル建設を発表し、話題となった。麻薬と違法風俗で長年悪名の高かった横浜の黄金町は10年以上にわたる地元の努力の結果、いまや「アートのまち」を標榜する。2015年に死者11人を出した火災が地域にショックを与えた川崎市日進町のドヤ街には外国人や若者が集まる宿や複合施設が誕生し、各種イベントでにぎわうようになってきた。

一時は1400人まで人口が落ち込んだ

そんな中、もっとも大きく変わろうとしているのが京都である。歴史がある町だけに、不動産的に価格、認知度とも低い場所は多いうえ、広範に及んでおり、その1つがJR京都駅の東にある崇仁(すうじん)地区である。

崇仁地区はその歴史的背景から、戦後すぐには約6000人、多かった時期には1万人近くだったという崇仁地区の人口は2015年には約1400人にまで減少。若年層の流出が続いた一方、高齢化が進展した。

そこに日本でもっとも長い歴史を持つ芸術系大学、京都市立芸術大学が移転する。1880年に京都府画学校として創立された同大キャンパスは現在、京都駅からバスで約45分かかる西京区大枝沓掛にあり、都心からはかなり距離がある。

加えて建物の耐震性能、狭隘化、バリアフリー、施設不足などの問題もあった。そこで大学は2013年に京都市に対し、都心で交通利便性が高く、まとまった土地が確保できる崇仁地区への移転・整備に関する要望書を提出。翌年には京都市が移転を発表した。

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