京都で「見過ごされた町」が人気化するワケ 若者や外国人は過去の歴史を気にしない

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飲食業の経験がないうえ、歴史的な背景から「回った店の3分の2には断られました」と小久保氏は話す。

一般社団法人渉成楽市洛座で事務局長を務めるwalksの小久保寧氏(写真:筆者撮影)

ただ、それが逆に良かったのかもしれない。過去にこだわりのない、意欲的な若い店主が面白そうだと出てくれたのである。駅に近い立地、若い活気のある雰囲気、出入り自由で開放的な作りなどが受けて人出はオープン以来好調だ。

オープンは寒さが懸念された2月だが、それでもこの月だけで2万4000人が訪れた。3月には3万人と伸びており、1日平均に直すと2000~3000人、月平均で2万5000人ほどが訪れている。芸大とまちをつなぐという趣旨のアートイベントも定期的に開かれている。

こんな便利な場所が使われてこなかったなんて

しかも、来ているのは目的通り、若者と外国人を含めた観光客。京都に来た友人と待ち合わせる場に、京都観光の最後に一杯飲む場に、ちょっとした時間を潰す場にと使われており、子ども連れやビジネスマンの団体、結婚式帰りのグループなど来街者は多種多様。リピーターも多く、出張で滞在期間中は毎日来ているという人にも何人か会った。

利用店舗にかかわらず、好きな場所に座れる仕組みで隣の人と距離が近いためか、知らない人同士で会話が生まれてもおり、最近ではあまり見なくなったナンパ(!)の風景もしばしば。屋台街の入り口には「コミュニティスペース」と掲げられているとおり、会話の楽しい場所になっており、それを求めて訪れている人も多い。

その会話の中で最もよく聞いたのは「こんなに便利な場所がこれまで使われてこなかったなんてもったいない」という類の言葉。関西を中心にテレビ、雑誌、新聞などで何度も取り上げられたもののなかには、土地の歴史について触れたものもあるが、来街者がその点を気にしているふうはない。彼らにとっては便利で楽しい場所、それだけなのである。そしてそれが続けば、町のイメージも変わっていくだろう。

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