企業は若い人の能力をもっと有効に使うべきだ 人手不足、高齢化時代は質の向上も重要だ

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高齢者の就業が増加している(写真:しげぱぱ / PIXTA)

今年の1月も景気回復が続いていたとすると、2012年11月を底に続いてきた日本経済の景気回復期の長さは第2次世界大戦後では最長となる。経済の拡大幅は小さいものの、大きく落ち込むことはなかったため、企業は雇用者の確保に前向きとなり、就業者数の増加が続いている。2018年の就業者数は6664万人で、過去最高だった1997年の6557万人を上回った。

日本の人口は2008年頃をピークに減少に転じ、労働力人口は1998年の6793万人をピークに減少に転じており、2012年には6565万人となった。しかし、2013年以降は増加傾向に転じ、2018年には1998年を上回る6830万人に達している。これは全体的な人口減少を、女性の社会進出や高齢者の就業が補っているためだ。

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厚生労働省の平成30年度雇用政策研究会は、将来の労働力需給について、経済成長と労働参加が進むケースでは、就業者数は2017年の6530万人から、2025年には6490万人、2040年には6024万人へと緩やかに減少していき、経済成長と労働参加が進まないケースでは、2025年に6082万人、2040年には5245万人へと急速に減少するとと予測している。

この見通しの数字からすると、高齢者や女性の労働参加が進めば、高齢化による労働力減少の影響はかなり緩和されると、期待できそうに見える。だが、もう少し詳しく見るとあまり楽観できないのではないだろうか。

就業者が増えても総労働時間は短くなる

2018年の就業者数が6664万人となって1997年の6557万人を上回った原因を年齢別の就業者で見てみると、2018年の60歳未満の就業者は5276万人で、ピークだった1997年の5680万人を大きく下回っている。一方で、60歳以上の就業者は、1997年の877万人から1387万人へと大きく増加している。

就業者数が過去最高を更新した大きな原因は、60歳以上の高年齢の就業者が大きく増加して、これまで労働力の中核だった60歳未満の人口減少を補っていることだ。人口規模が大きい団塊の世代が65歳を超えたことも加わって、65歳以上の就業者の増加が著しい。

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