1本400円高級キットカットが生まれた深い理由 バヌアツで育成された「希少カカオ」を使用

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その読み通り、希少カカオ第1弾である「ルビーチョコレート」は、「キットカット ショコラトリー」で売れ筋1位となったほか、ネスレのグローバル市場でも取り上げられるようになった。現在、20カ国以上で販売されているという。

「『ルビーチョコレート』の販売ルートはまだ拡大中で、ヨーロッパでも求める声があります。ダーク、ミルク、ホワイトといったチョコレートに続く“第4のチョコレート”として位置づけています」(ラクロワ氏)

世界的にも厳しいとラクロワ氏が評する日本市場で注目されることは、世界のチョコレート市場をも変えるインパクトとなるのだ。しかしその意味で懸念されるのが、原料確保の問題である。

原料不足を解決する「プル作戦」とは?

カカオを調達するファイアツリーチョコレート社の説明によると、バヌアツ、パプアニューギニア、フィリピンの3カ国でとれる希少カカオは世界で流通するカカオのなかでも1.5%未満。「ルビー」や今回の「ボルカニックチョコレート」の原料となるカカオはさらにわずかだという。

ネスレ日本コンフェクショナリー事業本部長のセドリック・ラクロワ氏。コンフェクショナリー事業本部は、キットカットを中心とした菓子製品群(コンフェクショナリー製品)を中心に、商品開発・プロモーション計画・広告活動を担当している(筆者撮影)

「当初は販売制限の必要があると思いますが、その点では私たちは“プル戦略”という手法をとっています。市場からの“プル”(引き)に応じ、生産を増やすというやり方です。原料が確保できたら、また消費者に働きかけて販売ルートを増やす、といったことを一歩一歩進めていきます。そのため、原料が不足するという心配はありません」(ラクロワ氏)

「ルビーチョコレート」や「ボルカニックチョコレート」に関しては、監修の高木氏がカカオの産地選考から全面的に関わり、「ボルカニック」シリーズに至っては現地に足を運ぶことで、商品開発のヒントを得ているという。どんな味なのだろうか。

カカオの味わいが最もはっきりとわかるのが、「ルビーチョコレート」だろう。ベリー系のフルーツを思わせる酸味が感じられるが、フルーツは使用されていないので、カカオ豆に由来する自然の味だと思われる。

火山島で育ったという「バヌアツ」も、酸味とナッツのような香りがあり、カカオの特徴が強く感じられるチョコレートだ。

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