1本400円高級キットカットが生まれた深い理由 バヌアツで育成された「希少カカオ」を使用

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「ボルカニック」のシリーズ名称の由来となっているのが、バヌアツ。南太平洋、オーストラリアの東に位置し、約80の島々から成る国だ。今も活動を続ける火山島であるマレクラ島の農園で、自然に近い状態で育ったカカオを用いたチョコレートは、酸味と甘み、力強さを感じさせる香りと味わいが特徴だという。

これら原料となるカカオは、太平洋諸国やマダガスカルなどの希少カカオに独自のネットワークを持つ企業「ファイアツリーチョコレート」を通じて調達されている。カカオの品質を決めるのは、品種や栽培地だけでなく、栽培法や収穫時期・発酵や乾燥の工程だ。例えば、この地域ではカカオの乾燥は時間を節約するために、熱源による乾燥機を使うのが一般的だが、煙によって質が損なわれてしまうのがデメリットだ。

今回、ファイアツリーチョコレート社を通じて調達されているのは、天日によって乾燥させたカカオ。バヌアツは雨が頻繁に降る地域なので、とくに手間がかかる。

ではなぜ、育成から、発酵・乾燥といった過程で手間と時間がかかるこれら希少カカオに、ネスレ日本が着目したのだろうか。

世界の中でも厳しい「日本市場」

ネスレ日本でキットカットを担当する、ネスレ日本常務でコンフェクショナリー事業本部長セドリック・ラクロワ氏は次のように説明する。

「日本市場は競争が激しく、つねにイノベーションが求められています。消費者の共感を得ることが必要で、消費者の需要をつねに予測して対応しなければなりません。味覚にも敏感で、しかも移り気です。世界の中でも厳しい市場と言えるでしょう。

それに対して、希少カカオのチョコレートは、原料をどのように発見したか、どこから来てどのように作られているか、そういったストーリーを含めて、新しい体験を消費者にもたらすと考えています」

確かに、日本の市場は特に変遷が激しい。最近の動向について、コンフェクショナリー事業本部マーケティング部長の竹内雄二氏はこう分析する。

「近年のハイカカオブーム、健康チョコレートブームによる市場の伸びは一巡して、次の革新的なコンセプトが求められています。消費者は、SNSなどで大量の情報にアクセス・発信できるものの、チョコレートの情報に関してパティシエのレベルの技術・知識までは入手できません。

そのような通常では得られない情報や、希少な原材料は消費者にとって貴重な情報となり、購入して体験したい、情報を拡散したいという強いニーズがあります」

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