北陸新幹線・金沢―敦賀間の開業が4年後の2023年春に迫った。沿線では高架橋や駅周辺部の工事がピークを迎えつつある。
筆者は2018年6月、講演のため、開業を待つ石川県小松市とその周辺を訪れて現状の一端を知ることができた(2018年7月24日付記事「北陸新幹線延伸まで5年「空港の街」小松の今」参照)。
11月には、開業地域のさらに先、福井県・嶺南地域の小浜市で、新幹線と街づくりをテーマに講演する機会があった。
小浜市は曲折の末、北陸新幹線の経由地となったが、着工時期は北海道新幹線の完成後、2031年度以降を見込んでいる。「遠い着工」を待ちきれない地元は、前倒しを強く求めつつ、敦賀開業の見取り図を描きながら、街の将来像を語る営みに着手した。
敦賀駅周辺は工事進む
その日の特急サンダーバード11号は、始発の大阪駅で自由席デッキに人があふれていた。乗車を諦めた旅客らが素早く、30分後の次発列車の枠に長い列をつくる。京都駅停車を挟んで通路も人で埋まり、輸送密度の高さを実感した。
乗車約1時間20分、到着した敦賀駅は駅舎のリニューアルが進み、自動改札機も導入されていた。駅前の旧駅舎跡に2014年建った交流施設「オルパーク」は、駅前広場と一体化したデザインが印象的だ。角張った外観、黒い壁面と大きなガラス。美しいスギ材を多用した吹き抜けは独特の爽快感が漂い、旅行者や地元の人、勉強する高校生らであふれる。駅前では立体駐車場工事、駅裏手では高架橋工事のクレーンが空にそびえていた。
小浜市役所の職員にピックアップしてもらい、舞鶴若狭自動車道を西へ向かう。小浜市まで約40km、入り江が時折、自動車道の間際まで迫る。屈曲した山裾と海岸線が美しい光景を生むとともに、人の往来を長く妨げてきた様子が見て取れた。人口は敦賀市が約6万6000人、小浜市は3万人弱、嶺南全体を合わせても14万人強。新幹線駅の後背地としては小規模だ。
小一時間ほどで小浜市街地に到着し、まずJR東小浜駅前を訪れた。小浜駅からは単線の小浜線で1駅、3kmほど離れた市街地の外れに当たる。
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