実際の残高が合わないのは、家計簿アプリを使っていても生じるはずだ。いくらキャッシュレス決済が増えても、何かしら漏れる支出はある。1円単位できっちり合わせるのは難しい。使った金額の記録はアプリに任せるとして、手帳の欄外でもスケジュールアプリでもいいので、財布に残っている金額を書いておく。それだけで、うっかり赤字は防げるだろう。
ムリに家計簿をつけなくてもお金は貯まる
そもそも家計簿はつけなくてはいけないのだろうか。いろいろなご意見はあると思うが、筆者は少なくとも家計簿をつけずともお金は貯められるというスタンス。「収入-貯蓄=生活費」というのが貯蓄の公式だからだ。
家計簿とは、生活費の内訳を書くためのもので、貯蓄の記録ではない。貯蓄が先取りで確実に行われているのなら、極端に言えば残りの生活費はどう使ってもいいわけだ。
しかし、貯まらない人の場合は、「収入-生活費=あれば貯蓄」という順序なので、生活費のムダを見つけるために家計簿をつけなくては、と考えがちだ。しかし、生活費のムダを見つける目的でつけるとなると、家計簿はさらにハードルが高い。何を買ったかをいちいち見直し、集計もし、残高も出し、カード払いや特別支出も別の欄に書き分けて……の作業は、貯蓄ベタの人には苦行だろう。
もっと簡単に家計の問題点がわかる方法はないものか。大丈夫、ある。雑誌などが定期的に実施している「家計診断募集」という企画に応募すればいい。別にファイナンシャル・プランナーの診断を受けろというのではない。応募のためには、たいてい家計の収支表を書かされる。
まず収入、月の貯蓄、月払いの保険、そして毎月かかる生活費を記入する一覧表だ。生活費の内訳は、住宅費、公共料金、通信費、食費、日用雑費、レジャー・交際費、被服費、子ども費、こづかいetc.といった、おなじみのもの。かかっている平均の金額を記入し、最後に月収から支出の合計を引いて収支を出す。ひと月のお金の内訳が、これですっきり見える。小学生でも作れる単純な表だ。
もちろん、本当に家計診断特集に応募しなくていい。こうした収支表を書いているうちに、たいていの人は自分の問題点に気づくからだ。どの費目にお金を割いているかがよく見えてくる。
雑誌の企画でも「これを書いて、はじめて家計全体がどうなっているか自分でわかりました」と言われることは多い。集計してみて、わが家はこんなに赤字だったのかと気づくケースもある。月の赤字に「6」を掛け算すると、その数字がきれいに半年ごとのボーナスの中に納まっている赤字家計のなんて多いことか。これではボーナスが残らないはずだとはっきり見えてくる。
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