理系力・文系力育てる最強校はどこだ? 全国169高校をアンケート(学問編)
生徒の「底力」育てる
大学進学率こそ高校の実力──成果主義の価値観が浸透して久しい。受験勉強を勝ち抜く力も重要だが、長い人生を考えた場合、それだけで「高校力」を測っていいのか。人生で最も多感な、子どもから大人への橋渡し時期を過ごすのが高校だ。そこで得るものが人生の行く末を左右することも多いだろう。
安田教育研究所の安田理代表は、東京大学の学部長も務めた学者から、聞いたことがある。
「ただ成績がいいからいい大学に入ったという子は、自分で研究課題を見つけられず、グループワークも苦手。社会に出てから苦労するタイプが多い」
社会に出てから「底力」を見せる子は自ら考え、疑問を見つける姿勢が身についている。そうした力を育てる高校が、本当にいい高校なのではないか。カリキュラムの消化以外に自ら考える機会を高校がどれだけ準備するかがカギになる。
そこで本誌は全国約250校に受験対策以外の取り組みについてアンケートを行い、169校から回答を得た。今回は「学問」関連の取り組みで、生徒の底力を引き出す高校力の源泉を探った。
手作り望遠鏡で星観察
近年求められる人材のキーワードの一つは「理系力」。課題を見つけ探究する心を育てるには、座学にとどまらない仕掛けが必要だ。
「大切なのは実験。充実した設備はポイントになる」
森上教育研究所の森上展安所長はそう語る。わかりやすいのは02年に始まり現在約200校が指定されているSSH(スーパーサイエンスハイスクール)だ。設備が充実し、大学と連携している高校が多い。理科の実験棟を集約した理科棟、天文台……。ハイレベルなバイオ実験ができる高校もある。
「研究者が学問の面白さを伝えてくれることは進路選択に役立つ。特に女性にとっては理系への選択を後押しする」(森上氏)
13年は東大に現浪あわせて18人、京都大学に53人を送り込んだ関西屈指の中高一貫進学校、大阪星光学院(大阪市)。理系に強く、各種の科学コンテストで毎年入賞を果たしている。