日ハム、動き出す「新球場建設」の野望と課題 北海道ボールパークは2023年3月開業目指す

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現状ではマイカーで訪れる来場者を対象に、ボールパークと幹線道路を結ぶアクセス道路を北広島市が建設することも予定されている。こういったインフラ整備の事業費として北広島市は155億円規模を見込んでいる。

球場のセンター方向はガラス張りで周囲には水辺も計画されている(写真提供:(株)北海道ボールパーク)

伊藤歩氏が『日本ハム「新球場」、完成を阻む数々の難問(2018年11月07日配信)』でも言及しているように、アクセス道路用地取得の交渉をこれから進めていく必要もある。

HBPにはボールパークの事業化に向けた課題をクリアすることは必須であり、このボールパーク構想を通じて新たなプロ野球ファンの獲得につなげることが期待される。

巨額の負担に見合う効果を出せるか

一方、北広島市は「究極の地方創生」策としてファイターズ新本拠地の誘致に名乗りを上げ、札幌市との誘致合戦を制することに成功した。同市は周辺道路などの整備の試算は公表したものの、用地使用料および固定資産税の減免額、球場新駅整備費用の負担額についての試算については公表していない。巨額の負担に見合う効果について市民に丁寧に説明し、市民の納得を得ることが、プロ野球と地域の双方の活性化のために望まれる。

そして、「現状維持ではない新たな価値を提供できるファイターズの未来図」(ファイターズの前沢賢取締役・事業統轄本部長)(筆者記事「『日ハム新球場』どっちの候補地がベスト? 実は「交通アクセス」も決め手になる」2018年1月20日配信)の実現に向け、日ハムグループ、関係企業、自治体、JR、そして地域住民・ファンの対話と協働をいかに進めていくかが問われている。

大塚 良治 江戸川大学准教授

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おおつか りょうじ / Ryouji Ohtsuka

1974年生まれ。博士(経営学)。総合旅行業務取扱管理者試験、運行管理者試験(旅客)(貨物)、インバウンド実務主任者認定試験合格。広島国際大学講師等を経て現職。明治大学兼任講師、および東京成徳大学非常勤講師を兼務。特定非営利活動法人四日市の交通と街づくりを考える会創設メンバーとして、近鉄(現・四日市あすなろう鉄道)内部・ 八王子線の存続案の策定と行政への意見書提出を経験し、現在は専務理事。著書に『「通勤ライナー」 はなぜ乗客にも鉄道会社にも得なのか』(東京堂出版)。

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