日本ハム「新球場」、完成を阻む数々の難問 JR新駅、用地買収、建設資金など課題山積

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北広島市に建設される新球場のイメージ(写真:日本ハム)

プロ野球チーム「北海道日本ハムファイターズ」が本拠地を札幌市から北広島市に移転し、新スタジアムを建設することを3月26日に表明してから7カ月。11月5日、同社はスタジアムの建設計画を明らかにした。

開閉式屋根の天然芝球場は国内初。天然芝のための採光を目的に、外野側の壁面は全面透明素材だ。

2020年5月に着工、2023年3月の竣工を目指すというが、着工までの1年半の間に解決しなければならない課題が数多く存在していることはほとんど公になっていない。

敷地の2割弱は買収途上

自ら誘致したのだから当然と言えば当然だが、今回のボールパーク建設にあたり、北広島市が担う有形無形の負担は甚大だ。

アクセス道路の新設や既存周辺道路の拡幅、上下水道の敷設、新駅の駅前広場の整備といったインフラ整備のほか、スタジアム建設エリアの樹木を伐採し、工事車両が走行できる程度の粗造成も市の負担で行う。

一般にはあまり知られていないが、今年3月に候補地となった時点では、全体で37ヘクタールあるボールパークの敷地のうち、北広島市の所有地は全体の3分の2強程度にすぎなかった。残りの3分の1弱にあたる10.2ヘクタールは民有地だったので、これをすべて市が買い取ることが市のミッションだ。この10.2ヘクタールのうち、現時点で既に買収が完了しているのは3.3ヘクタールだけで、残る6.9ヘクタールの取得は来年度だという。

「未買収地についてもすべての所有者から同意を得ている」(北広島市)というが、賃借人がいる土地については、立ち退きの同意取得は「売り主である地主の責任」(同)。つまり、賃借人が立ち退かなければ、新スタジアム建設はままならない。

今年2月に公表されたボールパーク全体の完成予想図で、スタジアム建設予定地になっている場所は、土地・建物ともに札幌市西区発寒の造園会社・横山造園が所有。「花さんぽ」という樹木販売機能を備えた広大な庭園を運営している。

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