日本ハム「新球場」、完成を阻む数々の難問

JR新駅、用地買収、建設資金など課題山積

しかしこれに文化庁から待ったがかかった。このルート沿いには特別天然記念物の野幌(のっぽろ)原始林があり、ここを道路化するには、文化財保護法125条に基づき文化庁長官の許可が要る。文化庁からは天然記念物保護の視点から、アクセス道路は可能な限り天然記念物の原始林から離れたルートを検討するよう、求められたのだ。

このため、7月下旬に北広島市が地元で説明会を開催した際に配布した資料上では、想定ルートは国有林とJR千歳線の線路に挟まれた森林地帯のちょうど真ん中あたりを東西に貫通し、ボールパークの敷地の北側を通る共栄南1号線に接続するルートに変更されている。

現在、このルート上の環境調査と埋蔵文化財の調査が実施されているが、この一帯は大半が民有地。大曲椴山線からの入り口付近ではパークゴルフ場「西の里パーククラブ」が営業をしており、ここの敷地を何とか回避するルートを取ったとしても、このエリアは相続等で複数名の共有名義になっている土地が少なくないため、交渉が難航する可能性は極めて高い。

最大のネックは「やかましの森」

最大のネックになりそうなのが、2本の新設ルートが交差するあたりにある「やかましの森」。地元の広島幼稚園が所有する約1万4000坪の森だ。遊具も置かず、手付かずの大自然の中で園児たちを遊ばせることによって、子どもの五感を育てるというのが同園の教育方針だ。それだけに、この森は同園にとって、経営の根幹を支える重要施設であることは間違いない。

現状は「調査のための立ち入りや事業協力を求めている段階で、買収協議は行っていない」(北広島市)というので、実際に市から買収を打診された場合、売却する意向はあるのかどうかを同園に聞いたが「回答は控えたい」という。

やかましの森は、同園から1kmほどの距離の場所にあり、常識的に考えれば、同程度の距離で同条件の代替地の提供が同意の最低条件になるはずだが、そのような土地がはたして見つかるのか。位置関係からすると、同園の敷地をまったく通らずに北進通にも、共栄南1号線にも接続することはまず不可能であり、市としては是が非でも欲しい土地だろうが、交渉の難航は必至だろう。

地元の自然保護団体「フォーラム野幌の森」は、このエリアが緩衝地帯となることで原始林が守られるとして、このエリア一帯を「ファイターズの森」として現状のまま温存し、アクセス道路はJR千歳線沿いの自転車道・エルフィンロードを活用する案を市に提案しているが、市が検討の対象にしている形跡はない。

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