“汚れない"キッチンに懸けるクリナップ 異例の時期に新製品発表

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理由の1つは、「2014年4月の消費増税前の駆け込み需要に間に合うには、この時期しかなかった」(クリナップの井上強一社長)ということ。ただ、それ以上にクリナップにとって喫緊の課題だったのは、高級価格帯商品のテコ入れだった。

前回のS.S.のモデルチェンジは2007年だった。これをきっかけに、国内の高級キッチン市場におけるクリナップのシェアは、2007年度の13.9%から2010年度には25.3%にまで拡大した。ただ、これをピークにシェア後退が続き、2013年度上半期(4~9月)は11.9%まで落ち込んだ。

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最高級品としての存在感を示せるか

その背景にあるのは、他社の攻勢ではなく、クリナップ社内でのカニバリ(食い合い)だった。

同社は、2011年6月に中価格帯の「クリンレディ」をモデルチェンジし、すべての部材をステンレスに切り替えた。それまで、オールステンレスは高価格帯のS.S.だけの仕様だったが、クリンレディの刷新によってS.S.の強みが一気に薄れてしまった。その結果、クリンレディの年商が2年連続で増収となる一方、S.S.は2年連続で減収となった。

住宅設備各社が注力するリフォーム分野では、「今のものより1~2ランク、グレードを上げる傾向がある」(井上社長)。そのため、高価格帯の競争力を高めることが何よりも重要になるのだ。

問われる「和製大砲」の真価

クリナップは、2014年4月にイタリアのミラノで開催される住宅設備の国際見本市「ミラノ・サローネ」に、日本のキッチン専業メーカーとして初めて出展する。その際の展示品のベースとなるのが、今回発表された新型S.S.だ。

クリナップという社名は、システムキッチンの調理台、ガスコンロ、シンクの3点セットを野球のクリーンナップになぞらえたことに由来する。世界の強豪メーカーが集まる国際大会で、どこまで注目を集めることができるか。「和製大砲」の真価が試される。

猪澤 顕明 東洋経済 記者

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いざわ たかあき / Takaaki Izawa

1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、民放テレビ局の記者を経て、2006年に東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などに在籍。2017年に国内のFinTechベンチャーへ移り、経済系Webメディアの編集長として月間PVを就任1年で当初の7倍超に伸ばす。2020年に東洋経済へ復帰、「会社四季報オンライン」編集長に就任。2024年から「東洋経済オンライン」の有料会員ページを担当。

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