7月の参院選で衆参「与党1強」体制ができ上がった後、初めての本格国会だった臨時国会が、特定秘密保護法案の可決・成立によって、12月7日未明に事実上、閉幕した。
安倍首相は開幕日の10月15日、所信表明演説で「成長戦略実行国会」と唱えた。来年4月の消費税率引き上げ実施決定をにらんで、経済再生を確実にするために、成長戦略を臨時国会の中心テーマとする姿勢を打ち出した。
確かに産業競争力強化法、国家戦略特区関連法など、成長戦略関係の法案も成立させた。しかし一方で、大騒動を予想しながら、国家安全保障会議設置法案とセットで特定秘密保護法案を持ち出し、最重要法案という扱いにしたため、掛け声の「成長戦略実行国会」ではなく、「秘密保護国会」にしてしまった。
振り返ると、参院選までは、猪突猛進型で墜落した第1次内閣の「失敗の教訓」を生かして「現実派・対話路線・じっくり型」を心がける「ニュー安倍」の舵取り目立った。参院選後、数の力で押し通せる国会になって、第1次内閣時代の「理念派・強硬路線・猛進型」に戻るのか、「ニュー安倍」を維持するのか、密かに注視していたが、早速、昔の猛進スタイルが出た。
「理念派・強硬路線・猛進型」が安倍首相の本質で、「ニュー安倍」は参院選対策や高支持率維持、政権運営などのために素顔を隠す「お化粧」だったのか。
であれば、安倍政権が掲げる目標や政策のうち、どれが首相の「本質」で、どれが「お化粧」か、見極めが重要になる。
安倍政治の骨格は、憲法改正を含めた「戦後レジームからの脱却」、経済再生とアベノミクス、それにもう一つ、小泉元首相の流れを受け継ぐ改革路線と見るが、安倍首相の「本質」は、特定秘密保護法案へのこだわりを見てもわかるように、改憲を含めた「戦後レジームからの脱却」に違いない。
達成には長期政権が必要だ。
経済再生も改革路線も、詰まるところ、長期政権づくりの道具立て、選挙勝利と高支持率演出のための「お化粧」かもしれない。「経済宰相」の厚化粧に騙されないように。
(撮影:尾形文繁)
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