ノーマルとの違いは、開口部が大きくなったフロントバンパーや、エアアウトレットが設けられたボンネット、そして前後のホイールアーチに与えられて全幅をわずかに広げるリップ式のオーバーフェンダー、さらにはリアの4本出しのマフラーを含むアンダースポイラー、そしてガンメタリック塗装の精悍(せいかん)な20インチホイールと必要最小限。しかしながらノーマルにはない静かなすごみを、そこかしこから醸し出している。
一方、インテリアは、エクステリア以上にノーマルとほぼ変わらぬ仕立て。エンジンスタート・ストップボタンが赤に変更されるほか、ダッシュボードやセンターコンソールにカーボン調のパネルをおごり、バケットタイプのシートがさりげなくブラックのアルカンターラとレザーのコンビに変更される程度。もっとも、それだからこそインテリアでも、静かなすごみが漂っている。
エンジンを始動すると爆音……は決して響かず、ノーマルよりは確かにボリュームあるサウンドが響く。とはいえ驚くようなものではない。「何か少しすごそうかも」という予感程度しか感じない。
車重1910kgのボディを軽々と走らせる
実際に走り始めると、印象的なのは車両重量が1910kgとは思えぬほど意外に軽快なフィーリングがそこにあることだ。この手のモデルは走り出しに重厚な感覚を伴うものが多いが、クアドリフォリオは思いのほか、スルッと動き出す。そして低速での印象はノーマルと大きく変わらない。また最大トルク600Nmを2500回転から発生するだけあって、普段乗りではアクセルを少し開けるだけでクルマを軽々と前へと押し出してくれる。
乗り心地に関しては明確にノーマルとは異なる。20インチサイズのタイヤ&ホイールは、ノーマルモデルでもグレードによって採用しているサイズだが、専用に締め上げられた足回りを備えるクアドリフォリオゆえに、路面から伝わる感覚にはゴツゴツしたところがある。またクアドリフォリオでは電子制御可変ダンパーを備えるわけで、ノーマルモードではなるべく快適性を高めようとして減衰力は弱めに設定される。が、それでもノーマルよりも硬いスプリング等を採用するだけに、乗り味はやや筋張ったものを伝える。
さらに走行モードを切り替えるためにセンターコンソールに備わるDNAのダイヤルを「D」にすると、ダンパーの減衰力が高まると同時にステアリングは重くダイレクトになり、エンジンもサウンドをいっそう増して鋭いレスポンスをみせるようになる。
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